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【iPhone使用レポート9】 iOS 5.0で改良されたVoiceOverの読み上げ機能

2011年10月17日
アクセシビリティ・エンジニア 辻

日本時間10月13日の早朝、Appleのiデバイス向けの新しいOS、iOS 5.0が発表されました。さまざまな機能強化が行われていますが、VoiceOverも例外ではありません。

そこで本エントリーでは、iOS 5.0上のVoiceOverの変更点の中から、筆者が気になったものを3点選んで紹介いたします。

読み上げ音声の音質の変更

iOS 5.0にアップデートされた方はもうお気づきになっているかもしれませんが、iOS 5.0のVoiceOverでは、読み上げ音声の音質が変更されました。この変更をどのように感じられるかは利用される方によって違うかと思いますが、筆者は日本語音声の音質は向上しているように感じました。

なお、iOS 4系のころと同じような音質の音声を使用したい場合は、以下のような手順で変更することができます。

  1. 「ホーム画面」から、「設定」を開きます。
  2. 「一般設定」、「アクセシビリティ」、「VoiceOver」の順に開きます。
  3. 「圧縮ボイスを使用」を「オン」に変更します。

初期設定時もVoiceOverが利用可能に

iOSのVoiceOverを最初に有効化するには、これまでは「設定」の中の「アクセシビリティ」から設定するか、PCとiPhoneなどを接続してiTunesの中の「ユニバーサルアクセス」で設定しなければなりませんでした。つまり、筆者のようにiPhoneの画面を見ることのできない利用者は、独力で最初にVoiceOverを有効化する際は、必ずiTunesのユニバーサルアクセスから設定を行わなければなりませんでした。

しかしiOS 5.0では、これまではオプションの変更により設定を切り替えて使用していたホームボタンのトリプルクリックの動作が、デフォルトでVoiceOverの切り替えに設定されたことにより、VoiceOver利用者が独力でiPhoneの初期設定が行えるようになりました。なお、ホームボタンの動作はこれまで通り、設定の「アクセシビリティ」の中で変更可能です。

要素にラベルを設定する機能

iOS 5.0上のVoiceOverの機能で、私が最も感動したのが、この要素にラベルを割り当てる機能です。この機能を使えば、名前のついていないボタンに、自分で名前をつけることができます。

VoiceOverはiOSの標準機能なので、アプリケーションの制作者がVoiceOverでの利用を考慮しながら開発を行うことは不可能ではありませんしそれは大切なことですが、必ずしもすべてのiOS向けのアプリケーションがVoiceOverで使用できるわけではありません。

例えば、アプリケーションを起動して画面をフリックすると、「ボタン」、「ボタン」とだけ読み上げられる複数のボタンで構成されたアプリケーションがあるとします。2個か3個の名称のないボタンであれば、「これは2番目のボタンだからこんな機能を呼び出すボタン」のように順番を覚えることでも対応できるかもしれませんが、10個以上のボタンに名称がついていないような場合は、それも容易ではありません。要素にラベルを設定する機能は、そのような場合に有効です。

ラベルの設定は、以下のような方法で行います。

  1. アプリケーションを起動して画面をフリックします。
  2. 「ボタン」とだけ読み上げられるボタンに移動します。
  3. そのボタンの機能を確認するためにダブルタップし、確認できたら元の画面に戻ります。
  4. もう一度1.と2.を実行し、「ボタン」とだけ読み上げられるところで2本指でダブルクリックして長押しします。
  5. 効果音が聞こえた後、「要素にラベルを設定」ダイアログ画面が表示されますので、名称を入力して「保存」をダブルタップします。

これで次回からは、同じボタンに移動した際に、単に「ボタン」と読むだけでなく、設定した名称が読み上げられるようになります。

今回の記事や過去のエントリーなどでも紹介しております通り、iOSが進化するごとにVoiceOverの機能も改良され続けております。今後も引き続き、最新の動向を追いかけていきたいと思います。

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