【NVDA日本語化】 2009年11月・12月の進捗状況
無料でオープンソースのWindows用スクリーン・リーダー、NVDAの日本語化は、NVDA日本語化プロジェクトで作業を続けております。今回は、11月と12月の進捗状況をまとめてお伝えしたいと思います。
NVDAプロジェクトの動き
去る11月25日に、本年最初のオフィシャルリリースである、NVDA 2009.1がリリースされました。NVDAの開発者の一人、James Teh氏は、NVDA 2009.1 Releasedという記事の中で、「このバージョンはすべての人にお勧めしたい安定版です。」と述べています。
また、12月上旬にリリースされた開発版には、Live Regionコンテンツのサポートや、NVDAの読み上げ内容を音声と画面の両方に出力できる機能が追加されている点も、NVDAプロジェクトの大きな更新内容と言えるでしょう。以下、簡単に開発版で追加された機能について紹介します。
Live Regionサポート
この機能は、Webコンテンツ上で動的に変化する内容をNVDAで読み上げ可能にするというものです。例えばスポーツのスコアをリアルタイムに表示するようなコンテンツで有効です。もちろん、コンテンツ側で適切にマークアップする必要がありますが、以下のページで紹介されているMultiple Live Regions - Advanced Test Caseでもその機能をお試しいただけます。このサンプルコンテンツは、Fire VoxやCLiCk, Speakの開発者としても知られているCharles L. Chen氏が、CLC Worldの中で公開されているものです(Fire VoxやCLiCk, Speakにつきましては、Webサイトの音声読み上げを可能にするFirefoxの拡張機能でも紹介しております)。
なお、NVDAのLive Regionサポートの詳細につきましては、NVDA - #246 (NVDA should handle events other than "show" for live regions)をご参照ください。
読み上げ内容を音声と画面の両方に出力
これまでNVDAには、音声で読み上げている内容を画面に出力する機能がありました。この機能は、スクリーン・リーダーの読み上げ内容を、画面上で文字として確認したい利用者にとっては便利な機能でした。しかしながら、この機能を使用している間、NVDAは音声で画面の内容を読み上げることができませんでした。
12月15日にリリースされた開発版R3441では、音声で画面情報を読み上げながら、表示されるウインドウで読み上げ内容を文字でも確認できるようになりました。詳細はNVDAプロジェクトの更新情報、NVDA - #44 (Allow display synth to be used in conjunction with speech)でご確認ください。
日本語化プロジェクトの動き
NVDA日本語化プロジェクトでは、11月と12月に5本のパッケージを作成して公開しました。NVDA開発版の最新パッケージは、NVDA日本語化プロジェクトのダウンロードページからダウンロードしてご利用ください。また、前述のオフィシャルリリースの日本語版につきましては、当アクセシビリティBlogのエントリーNVDA 2009.1J リリースで紹介しております。
ソースコードにつきましては、5度の更新を行いました。最新のソースコードは、NVDA開発版r3441をベースにしております。
11月と12月には、あわせて29件のメッセージ翻訳を行い、本家NVDAプロジェクトに内容を送付しました。
NVDA 2009.1ユーザーガイドにつきましては、6.2.1.4. 点字設定と6.2.1.5. キーボード設定の翻訳を行いました。
2009年11月17日と2009年12月14日には、定例の日本語化プロジェクトのミーティングを行いました。議論の内容につきましては、リンク先の記録をご参照ください。
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