PDFとセキュリティ設定
当社では、本年アクセシブルPDF作成サービスの提供を開始いたしました。関連して、6月のエントリーでは、PDFコンテンツのアクセシビリティに関する基本的な事柄について紹介させていただきました。前回の復習となってしまいますが、アクセシブルなPDFと耳にした時、皆さんはどのようなものを想像されるでしょうか。アクセシビリティを確保するためには、次のことが守られていることが理想だと考えています。
- 文書にアクセスすることができる
- 表示されている文字を読むことができる
- 正しい順序で情報を取得することができる
文書にアクセスできるPDFとは?
今回はこの中から、「文書にアクセスできるPDF」について取り上げたいと思います。「文書にアクセスできるPDF」とは、適切なセキュリティ設定を施されたPDFのことを指します。PDFを公開する際、データの無断引用や改ざんを防ぐため、PDFに下記の制限事項を設けることがあります。
- 印刷の制限
- テキスト、画像の抽出の制限
- 内容のコピーの制限
こうした制限事項を設定することで、文書が不用意に変更されることを防ぐ効果が期待できますが、アクセシビリティ上、気をつけなければいけないポイントが2点あります。
- Acrobat 5.0(PDF1.4)以降のバージョンで保存する
- スクリーン・リーダーからのアクセスを許可する
Acrobat 5.0(PDF1.4)より前のバージョンの問題点は、セキュリティを設定を施すと同時にスクリーン・リーダーからのアクセスを拒否してしまう、という点です。セキュリティ設定を行い、かつスクリーン・リーダーからのアクセスを許可するためには、保存するバージョンをAcrobat 5.0(PDF1.4)以降を選択する必要があります。
セキュリティ設定例(Adobe Acrobat 9 Pro Extendedを用いた場合)
Adobe AcrobatからPDFにセキュリティを設定する場合は、メニューバーから「アドバンスト」‐「セキュリティ」‐「パスワードによる暗号化」を選択します。
表示された「パスワードによるセキュリティ」設定画面から、権限パスワード、印刷、変更の権限の設定を行うことができます。各種設定を終えた後は、「スクリーンリーダデバイスのテキストアクセスを有効にする」という項目が有効になっていることを確認してください。この項目を有効にすることで、各種権限を制御したまま、スクリーン・リーダーからのアクセスを有効にすることが可能になります。
このような項目は、Adobe Acrobat以外の製品でも用意されていることが多いので、PDFにセキュリティ設定を行う際は、スクリーン・リーダーからのアクセスを有効にすることをぜひ意識していただきたいです。
「表示されている文字を読むことができる」「正しい順序で情報を取得することができる」という項目に関しましてはまた別の機会に取り上げたいと思います。
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