動画で学ぶ支援技術 スクリーン・リーダー篇 第2回
筆者は日常的に、コンピュータの画面情報を音声や点字にして読むことのできるスクリーン・リーダーというソフトウェアを使用しています。コンピュータを使用する場合、画面に書かれている内容をそのままでは読むことのできない、もしくは困難である視覚障害者にとって、このスクリーン・リーダーをはじめとした支援技術はなくてはならない存在です。
本年3月に公開した第1回コンテンツでは、スクリーン・リーダーがどのようなものなのか、どんな種類のものが利用されているのかについて紹介してきました。
第2回目となる今回は、スクリーン・リーダーを使って、Windowsでどのような作業ができるのかについて具体的に紹介しています。
動画がご利用いただけない環境の方は、「全文を読む」のリンクよりお進みください。第2回スクリーン・リーダーの基本機能について テキストという見出しより、テキスト化された内容を提供いたしております。
第2回スクリーン・リーダーの基本機能について テキスト
- 辻:
- こんにちは、ミツエーリンクスのアクセシビリティチームの辻勝利です。今回も前回に引き続きまして、スクリーンリーダーの基本機能についてご紹介したいと思います。今回は、まず、Windowsの起動について、スタートメニューの読み上げについて、デスクトップ、システムトレーの読み上げについて、アルファベット入力時の読み上げについて、漢字入力時の読み上げについて、そして、スクリーン・リーダーのカスタマイズについてお話ししたいと思います。Windows起動時のログオン画面は、スクリーン・リーダーでも内容を読むことができます。もし、スクリーン・リーダーがWindowsのログオン画面を読むことが出来ない場合、私のような視覚障害者のユーザーは、勘を頼りにログオン作業を行わなければなりません。それでは、今回はJAWSを使って、Windowsのログオン画面を読ませてみたいと思います。
- (Windows起動時のログオン画面が表示される)
- JAWSの音声:
- JAWS for Windows起動、Windowsへようこそ、ダイヤログ、このキーの組み合わせを使用することによってテン、コンピューターの安全性をより確実にすることができますマル、詳細はダイカッコヒラキHelpダイカッコトジ、ご参照してくださいマル、CtrlプラスAltプラスDelキーを押して開始してくださいマル、Windowsへログオンダイヤログ、パスワードカッコヒラキPカッコトジ、コロンパスワード入力エディットAltプラスP アスアスアスアス、
- (パスワードを入力。入力されたパスワードはアスタリスクに変換され表示される)
- 辻:
- このようにパスワードを入力する部分では、アスタリスクという音声で入力している文字が、スピーカーから出ないようになっています。Windowsを起動しまして、スタートメニューの内容を読ませてみたいと思います。このスタートメニューは、すべてのスクリーン・リーダーで内容を読ませることができます。それではまず、PC-Talkerを使って、スタートメニューの内容を読ませてみます。
- PC-Talkerの音声:
- スタート、 メニュー、リストビュー、選択、インターネット、電子メール、KツーEditor、JAWS 7.10
- 辻:
- このようにカーソルキーを動かすことで、次の項目や前の項目に移動することができます。そして、例えば、
- PC-Talkerの音声:
- すべてのプログラム、P、メニュー
- 辻:
- この全てのプログラムのようにサブメニューがある項目では、そのサブメニューの内容も読ませることができます。
- PC-Talkerの音声:
- NetReader 、Mozilla Firefox
- 辻:
- では、同じように、今度はFocusTalkでスタートメニューを読ませてみます。
- FocusTalkの音声:
- スタートのボタン、インターネット、電子メール、KニEditor、K、JAWS 7.10、J、Microsoft Office Excel 2003、M、ツールチップMicrosoft Office Excelを使って、スプレットシートやWebページにある計算の実行、情報の分析、リストの管理を行います。
- 辻:
- さきほどのPC-Talkerとの読み上げとは、少し内容が異なっていることが、おわかりいただけると思います。同じようにJAWSでもスタートメニューを読ませてみます。
- JAWSの音声:
- スタートメニュー、インターネット、電子メール、KニEditor、K、JAWS 7.10、J、Microsoft Office Excel 2003、M、
- 辻:
- このようにスクリーン・リーダーはスタートメニューを問題なく読み上げることができます。スタートメニューの中で、起動したいプログラム名のアルファベットがわかっている場合は、そのキーを押すことで素早くプログラムを起動することもできます。それでは、JAWSを使ってスタートメニューの中からFirefoxを起動してみたいと思います。
- JAWSの音声:
- スタートメニュー、インターネット、
- 辻:
- すべてのプログラムを表示させるためにPを押します。
- JAWSの音声:
- P、すべてのプログラムカッコヒラキPカッコトジ、サブメニュー、
- 辻:
- そして、Mozilla Firefoxを起動するためにMを押します。
- JAWSの音声:
- M、Mozilla Firefox、
- 辻:
- ここでEnterキーを押せば、
- JAWSの音声:
- メニューを抜けます。
- 辻:
- Firefoxが起動します。
- JAWSの音声:
- Mozilla Firefox、ロケーションバー、エディットコンボ
- 辻:
- ただし、プログラム名が日本語で書かれているような場合は、キーボードでそのキーを押すことができませんので、スタートメニューから素早く起動することはできません。それでは次に、デスクトップとシステムトレーの読み上げについてお話しします。このデスクトップやシステムトレーの読み上げは、多くのスクリーン・リーダーで行うことができます。今回もJAWSを使ってご説明します。まず任意の場所からWindowsキーとDを押して、デスクトップに移動します。
- JAWSの音声:
- マイコンピュータ、
- 辻:
- そして上下左右のカーソルキーを動かすことで、デスクトップ項目の内容を読むことができます。
- JAWSの音声:
- マイドキュメント、マイコンピュータ、マイネットワーク ゴミ箱、Internet Explorer、FocusTalk、Japanese Firefox 3、
- 辻:
- さらに、
- JAWSの音声:
- マイドキュメント
- 辻:
- キーボード上からアルファベットの文字を入力することでも特定の項目に移動できます。例えばIキーを押しますと、
- JAWSの音声:
- I、Internet Explorer
- 辻:
- Internet Explorerに簡単に移動できます。次に、システムトレーの読み上げについてご紹介します。WindowsのシステムトレーはWindowsキーを押しながらBキーを押して移動します。
- JAWSの音声:
- JAWS for Windowsボタン
- 辻:
- そして、システムトレーの内容を読ませているんですが、上下左右のカーソルキーを動かすことで他の項目に移動できます。
- JAWSの音声:
- デビューボタン、サイボウズオフィスロクリマインダー、ボタン、クイックシェルフサンボタン シマンテクエンドポイントプロテクションボタン
- 辻:
- そして、目的の場所が見つかったら、そこでEnterキーを押すことで、そのプログラムにアクセスすることができます。それでは、次にアルファベットの入力と読み上げについてお話しします。たとえばメモ帳などで、アルファベットを入力しますと、スクリーン・リーダーはその内容を読むことができます。さらに、もし入力された単語が、スクリーン・リーダーの辞書に登録されていればそれを単語として読み上げることもできます。今回は3つのスクリーン・リーダーを使って、その音声をご紹介します。まずPC-Talkerの音声を聞いてください。メモ帳を起動しまして、
- PC-Talkerの音声:
- エイチ、イー、エル、エル、オー、ピリオド、(電子音)、ティー、エイチ、アイ、エス、(電子音)、エー、(電子音)、ティー、イー、エス、ティー、ピリオド
- 辻:
- Hello.This is a test.と入力しました。そして、その行を読ませますと、
- PC-Talkerの音声:
- ヘロ、ピリオド、ディス、イズ、エー、テスト、ピリオド
- 辻:
- ちょっとぎこちないですが、単語として読み上げることができます。同じように、今度はFocusTalkで、入力されたものを読ませてみたいと思います。
- FocusTalkの音声:
- ハロー、ディス、アイエスエー、テスト
- 辻:
- このように読まれます。次に同じ内容を、JAWSを使って読ませてみたいと思います。
- JAWSの音声:
- ハロー、ピリオド、ディスイズエイテスズ、ピリオド
- 辻:
- スクリーン・リーダーによって読み方は違いますが、このようにアルファベットで書かれた内容を読むことができます。それでは次に、漢字入力時の読み上げについてお話しします。スクリーン・リーダーでは、漢字を入力する際、変換候補がどのような漢字なのかを説明して読むことができます。これを詳細読みといいます。それではPC-Talkerを使って漢字の文章を入力してみたいと思います。
- PC-Talkerの音声:
- 最初の初、ハツ、同級生の級、ノ問題の問、トイ、問題の題です
- 辻:
- 今、「初級の問題です。」と入力しました。この入力している間に漢字の変換を行ったんですが、それぞれの漢字がどのような漢字なのかを説明してくれました。
- PC-Talkerの音声:
- 初級の問題ですマル
- 辻:
- 次に同じ文章をFocusTalkを使って入力してみます。
- FocusTalkの音声:
- 初のショ、高級品のキュウ、全角ひらがな、の、初級の、問題のモン、題名の題、全角ひらがな、です、マル、問題です。
- 辻:
- さきほどのPC-Talkerとは、説明の仕方が若干違ったのをお聞きいただけたかと思います。
- FocusTalkの音声:
- 初級の問題です。
- 辻:
- さらに同じ文章をJAWSを使って入力してみます。
- JAWSの音声:
- ショ、キュウ、ノ、初のショ、グレードの級の、トウの問、題名のダイ、ですマル、問題ですマル。初級の問題ですマル
- 辻:
- 同じ文章なのですが、JAWSでも漢字が違った説明のされ方をしていたと思います。次にスクリーン・リーダーのカスタマイズについてお話しします。スクリーン・リーダーは、ユーザーの聞きやすさや情報の種類などによって、読み上げる音声の種類や音声の速さなどを、変更することができます。今回は、PC-Talker、FocusTalk、JAWSの3種類のスクリーン・リーダーについて、音声の種類と速さを変更する例をご紹介します。まずは、PC-Talkerの音声の種類を変更してみたいと思います。
- PC-Talkerの音声:
- 音声の種類のコンボボックス、選択、T、VoiceText女性音カッコMisakiカッコトジ
- 辻:
- 今、女性が選択されているんですが、これを男性音に変更することもできます。
- PC-Talkerの音声:
- VoiceText男性音カッコShowカッコトジ
- 辻:
- 次にスピードを変更してみたいと思います。
- PC-Talkerの音声:
- 音声、音声スピードの、音声スピードのコンボボックス、選択S4、スピード5、音声スピード9
- 辻:
- 今、最高のスピード9に変更してみました。
- PC-Talkerの音声:
- 音声スピードの設定モードのコンボボックス、選択、S9
- 辻:
- さらに、スピードを遅くすることもできます。
- PC-Talkerの音声:
- スピード6、スピード5、スピード4、スピード3、スピード2、スピード1
- 辻:
- 次にFocusTalkの音声の種類と速さを変更してみたいと思います。まず、現在はFocusTalkは男性音が選択されています。
- FocusTalkの音声:
- 音質のコンボ、種類のコンボボックス、T、男性
- 辻:
- そして、男性の音声からカーソルを動かしますと、
- FocusTalkの音声:
- 女性、女性カッコ喜び、女性カッコ怒り、女性カッコ悲しい、女性カッコ冷たい、子供、
- 辻:
- このようにたくさんの種類の音声の中から好みに応じて音声を選択することができます。じゃあ、いったん男性に戻しまして、
- FocusTalkの音声:
- 女性、男性、
- 辻:
- 次に、速さを変更してみたいと思います。
- FocusTalkの音声:
- 音量のイントネーション、高さの、速度のコンボボックス、S6、5、4、3、2、1、最低、
- 辻:
- 今、一番遅いスピード1になりました。今度は早くしてみたいと思います。
- FocusTalkの音声:
- 2、3、4、5、6、7、8、9、最高、9、最高、
- 辻:
- これが最高スピードの9になります。それでは最後に、JAWSの音声の種類と速度を調整してみたいと思います。まずJAWSの音声は、最初は男性の声になっています。
- JAWSの音声:
- 人物カッコヒラキ、S、カッコトジ、コロン、コンボボックス、EXTRA太郎カッコヒラキDTalkerカッコトジ
- 辻:
- そして、女性の声に変更できます。
- JAWSの音声:
- EXTRA花子カッコヒラキDTalkerカッコトジEXTRA太郎カッコ
- 辻:
- 男性の声に戻しまして、次に速度を調整してみます。
- JAWSの音声:
- 速度カッコヒラキ、R、カッコトジ、コロン、200、左右スライダー、70%、AltプラスR、60%、50%、40%、30%、20%、0%、
- 辻:
- これが最低スピードの0%になります。この時、画面上では、60と出ていると思うんですが、これは1分間に、このスピードですと、60ワードほどの単語を読み上げることができるという意味です。今度は速度を上げてみます。
- JAWSの音声:
- 10、60%、70%、80%、90%、100%
- 辻:
- これが100%のスピードになります。それでは、本日のまとめですが、今日はWindowsが起動していれば、スクリーン・リーダーでは、Windows上の様々な画面の内容を読み上げることができるというお話をしてきました。スクリーン・リーダーによってメニューや漢字の読み方など、読み上げる内容が異なっているというお話もしてきました。最後に利用者の好みに応じて、または読み上げられる情報の種類に応じて、スクリーン・リーダーをカスタマイズできるというお話をしてきました。次回はJAWSとFocusTalkを用いまして、Webサイトにアクセスするためのコマンドについて、お話していきたいと思います。それでは、次回のコンテンツでお会いしましょう。このコンテンツではみなさまからのご意見ご感想をお待ちしています。a11y@mitsue.co.jpまでメールでお寄せください。
コメント
楽しいですよ。
おはようございます。
そしてはじめまして。
みみすけと申します。晴眼者です。
firevox関連の記事を検索していたところ
ここにたどり着きました。
ネット関連のスクリーンリーダーやブラウザについて
わかりやすく説明していただいていて
大変有意義に見させていただきました。
現在、音声ガイド付きDVDリストのBlogを立ち上げ中です。
ただし、ブラウザ依存で画面のあらわし方が異なり
ディスプレイの表示の仕方もそうですが
CSSへの対応の仕方が異なり、表などの読み方が
異なってどうしようかと考えておりました。
ブラウザも音声ブラウザというものがあるのですね
大変勉強になりました。
またよろしくお願いします。
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