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インストール不要の音声ブラウザ、WebAnywhere

2008年7月4日
アクセシビリティ・エンジニア 辻

一般的なスクリーン・リーダーや音声ブラウザは、それを利用する前にコンピュータにインストールするという作業が必要です。そのため、例えばインターネットカフェや図書館のコンピュータのように、不特定多数の人たちが利用するコンピュータを、音声読み上げ環境のユーザーが利用することは困難でした。たいていの場合、これらの共用のコンピュータに利用者自身がソフトウェアをインストールして利用することは認められていないからです。

このような問題を解決すべく、ワシントン大学のJeffrey P. Bigha氏をはじめとしたプロジェクトで開発されているのがWebAnywhereで、2008年4月に北京で開催されたInternational Cross-Disciplinary Conference on Web Accessibility (W4A)でもプレゼンテーションが行われました。

特徴として、スクリーン・リーダーや音声ブラウザをコンピュータにインストールしなくても、WebAnywhereのWebサイトにアクセスすることで、英語のコンテンツであれば、内容を音声で読ませることができます。デモンストレーションビデオでは、図書館を訪れた全盲の利用者が、空いていたコンピュータに持参したヘッドホンを装着し、WebAnywhereを利用してGmailのメッセージを確認する様子が紹介されていました。

現在、WebAnywhereのページではAlpha版が公開されており、ページ内のWebAnywhere Alpha Releaseというリンクを開くことで実際に使用することができます。筆者が試したところ、ページにアクセスして程なく、ページの内容を読み上げる音声が聞こえました。

現在WebAnywhereで利用できるショートカットキーは、以下の10種類です。SHIFTキーと組み合わせて使用することで、前の該当項目に移動できます。

CTRL-L
URLを入力できるロケーションボックスへ移動する。
下矢印キー
ページ内の次の要素を読み上げる。
上矢印キー
ページ内の前の要素を読み上げる。
CTRL-H
次の見出しに移動する。
CTRL-I
次のインプット要素に移動する。
CTRL-R
テーブル内で次の行のセルに移動する。
CTRL-D
テーブル内で次の列のセルに移動する。
Page Downキー
現在位置から読み上げる。
Homeキー
ページの先頭から現在位置までを読み上げる。
CTRLキー
読み上げを停止する。

なお、WebAnywhereを使用する際、筆者の利用環境では一部のキー操作以外が受け付けられなくなるという問題がありました。主にキーボードを利用されている方はご注意ください。

WebAnywhereは現在Alpha版として公開されており、予期せぬ問題を含んでいる可能性がありますので、ご自身の責任でご利用ください。

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