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NVDA R2540日本語版公開

2008年12月3日
アクセシビリティ・エンジニア 辻

本日、日本語化プロジェクトでの更新内容を含んだ、NVDA日本語版の最新パッケージ、nvda_r2540を公開いたしました。本エントリーでは、最新パッケージで変更された項目について、その一部をご紹介いたします。なお、すでに11月28日付の当Blogのエントリーでもご紹介しております第45回福祉情報工学研究会のデモンストレーションでは、このパッケージのNVDAを使用してデモンストレーションを行う予定です。どうぞご期待ください。

今回公開したパッケージ、nvda_r2540では、以下のような変更が行われました。

仮想バッファに関する変更

これまでNVDAでは、Mozilla FirefoxでWebコンテンツを閲覧中にフォームコントロールを操作する際は、仮想バッファパススルーモードに入らなければなりませんでした。例えば、検索エンジンで検索文字列を入力するためのエディットボックスに文字を入力するためには、エディットボックスのところでEnterキーやNVDAキーとスペースキーを同時に押して、仮想バッファパススルーモードをOnにして文字列を入力する必要がありました。

今回の変更では、エディットボックスやコンボボックスなどのフォームコントロールを検出すると、自動的にそれが操作できるようになるオートフォーカスモード(仮想バッファパススルーモードのOnの状態)機能が追加されました。なお、フォーカスモードからWeb閲覧のためのブラウズモード(仮想バッファパススルーモードがOffの状態)に戻るには、Escキーを押してください。

日本語化プロジェクトで追加した機能

NVDAには、NVDAキーとそのほかのキーの組み合わせで動作するコマンドが多数あります。例えば、NVDAメニューを出すにはNVDAキーとNを押します。

NVDAキーは通常Insertキーに割り当てられており、前述のNVDAメニューを出すためにはInsertキーとNを押して操作します。デスクトップPCのキーボードのように、テンキーを含んだキーボードであれば比較的簡単にNVDAキーを用いた制御ができますが、ノート型のPCのようにテンキーがなかったり、Insertキーそのものが押しづらかったりするような環境では、NVDAの制御が困難でした。そこで本家のNVDAでは、CapsLockキーをNVDAキーとして使用できるようにする代替案が提供されておりますが、日本語環境ではその機能を利用することができないため、無変換キーをNVDAキーとして使用できるようにするための改良を行いました。この機能は、NVDAのWelcomeダイアログや、キーボード設定内で有効化できます。

ドキュメントの翻訳状況

NVDAパッケージに同梱されているドキュメントには、NVDAユーザーガイド、コマンドキークイックリファレンスがあります。日本語化プロジェクトではこのうち、コマンドキークイックリファレンスを翻訳し、パッケージに加えました。また現在、ユーザーガイドの翻訳にも着手しております。

まだ課題の多い日本語化プロジェクトですが、高機能でオープンソースのスクリーン・リーダーを日本で普及させるため、今後も活動していきたいと思います。日本語メッセージを含むNVDAのパッケージは、NVDA日本語化プロジェクトのページからダウンロードいただけます。まだ開発途中のものであり、予期できない問題を含んでいる可能性もありますので、ご自身の責任でご利用ください。

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