Webサイトのアクセシビリティを高めるための方法や国内外の関連情報など、さまざまな角度からWebアクセシビリティに関する話題をご提供していきたいと思います。
2006年10月11日
論理型認証方式のBrainBuster
アクセシビリティ・エンジニア 辻
10月9日付のPanasonic YouthというBlogの記事で、論理型CAPTCHAのBrainBusterという技術が紹介されておりました。このBlogは、作者のRobSanheim氏自身のBlogで、この技術のRubyで書かれたソースコードも提供されております。
5月10日付の当Blogのエントリー、Googleアカウントのアクセシビリティ対応でも少し触れましたが、現在よく利用されているCAPTCHAは画像で提供される画面情報を読むことのできない私のような視覚障害者にとっては困った存在でした。現在実用化されているCAPTCHAへの代替手段としては、前回ご紹介したような音声読み上げによる認証コードの提供が行われています。
前置きが長くなってしまいましたが、このBrainBusterは、簡単な数学の問題や単語のパズル問題などの情報を出力し、ユーザーに正しい答えを入力してもらうことで認証を行おうという技術です。この方法なら、スクリーン・リーダーや音声ブラウザを使用しているユーザーであっても、認証作業を完了できます。もちろん、先に述べた音声情報を使った認証方法も有効な手段なのですが、この論理型の認証方式なら盲聾者を含む点字ディスプレイだけを使用しているユーザーにも認証作業を完了することができるという利点があります。
一方、この論理型のCAPTCHAは何らかの理由で質問の内容が理解できないユーザーにとっては利用しづらい技術であるという欠点もあります。つまり、まだ万能な技術ではないのです。
最後に、どんな質問を使って認証作業を行うのか、BrainBusterのページで提供されている例をご紹介します。
- 十五(fifteen)引く五(five)はいくつでしょう?: 十(ten)または10
- 次の中で関連のないものはどれでしょう?"青、赤、黄、花": 花
- "dog"を逆に書くと何と言う単語になるでしょう?: god
実際にcaptcha test page in Madison Railsというページに、この認証が実装されております。論理型認証についてご興味のある方は是非お試しください。
認証の必要なページを訪れたユーザーすべてが簡単に通過できるような認証方法はまだありませんが、ユーザー自身がどの技術を使うかを選択できるようなWebサイトが増えることが、CAPTCHAをよりアクセシブルにする方法ではないかと考えられます。