HTML Working GroupがHTML to Platform Accessibility APIs Implementation Guideの草案を更新
今週、W3CのHTML Working GroupはHTML to Platform Accessibility APIs Implementation Guideの新しい草案を公開しました。
ブラウザーと支援技術(スクリーン・リーダーなど)の多くはアクセシビリティAPIを介して、Webページの情報のやりとりや操作を行っていますが、この仕様はHTMLの要素や属性とアクセシビリティAPIのプロパティやアクションとの対応関係を定義しています。
アクセシビリティAPIについては、草案の1章「Introduction: Accessibility APIs」(non-normative:参考情報)で、アクセシビリティAPIが生まれた背景が紹介されています。1章の内容を簡単にまとめると、次のようになります。
- デスクトップのGUIアプリケーションに対して、支援技術は当初ヒューリスティックな方法を使ってユーザーインタフェースの意味を判断していた
- しかしヒューリスティックな手法は常に正しい結果を得られるとは限らず、またアプリケーションが更新されるたびに支援技術も更新する必要があった
- これらの問題を解決するためにアプリケーションと支援技術のやりとりに使う専用のAPI(アクセシビリティAPI)が生まれた
- Webについてみると
- 静的なWebページでは、支援技術はDOMを介してブラウザーとのやりとりを行う
- 動的であることが分かっているフォームなどでは、支援技術はアクセシビリティAPIを使うかもしれない
注:現在のWebブラウザーと支援技術には、静的なWebページでもアクセシビリティAPIを介してやりとりしているものが複数存在します。
また、仕様の中心となるHTMLとアクセシビリティAPIとの対応関係のセクションは、前回、2012年10月に公開された草案では粗削りな印象がありましたが、今回の草案では各アクセシビリティAPIについてそれぞれ見直しが行われ、より充実した内容となっています。
例えば、HTML5で追加されたmain要素やheader要素といった要素は暗黙的にランドマークとしての意味を持ちますが、今回の草案ではアクセシビリティAPIからもランドマークとして認識されるように対応関係の表が更新されています(main要素の対応関係表、header要素の対応関係表)。
また、longdesc属性の対応関係表にもMSAA + IAccessbile2とAT-SPIとの対応関係が追加されています(longdesc属性に関しては木達の記事「Firefoxがlongdesc属性をサポートへ」をご覧ください)。
この仕様によってHTMLとアクセシビリティAPIとの対応関係が標準化され、ブラウザーと支援技術の実装がより充実すること、また、それによって支援技術のユーザーがHTMLのセマンティクスをより活用できるようになることを期待しています。
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