【iPhone使用レポート11】 iOS 6で強化されたWebアクセスの可能性
9月19日(日本時間では9月20日の早朝)、iデバイス向けの新しいOS、iOS 6.0が公開されました。すでに国内外のBlog記事などでも紹介されておりますが、VoiceOverをはじめとしたアクセシビリティ機能にもさまざまな改良がおこなわれています。今回はその中から、日本語VoiceOverで可能になった漢字の説明読みが、VoiceOver使用者のWebアクセスにどのように影響するかをご紹介します。
日本語では、ひらがなやカタカナや漢字などを使って文字を表現します。例えば「雨」と「飴」は同音異義語ですが、違うものだということは漢字を確認できる環境であればすぐにわかります。デスクトップ環境向けのスクリーン・リーダーや、読み上げ機能付きの携帯電話にもそれぞれの漢字を「あめの う」とか「たべものの あめ」のように説明する機能を持ったものがあります。このエントリーでは、これを漢字の説明読みと呼ぶことにします。
利用者は必要に応じてその説明を確認しながら個別の文字の詳細を把握しているのですが、iOS 5にはその説明読みの機能がなく、VoiceOverの利用者は自身が入力した文字が正しい漢字で書かれているかを確認したり、ページ内の文字の詳細を確認することができませんでした。その結果、例えばWeb上のフォームから情報を送信するような場合に以下のような問題が発生していました。
- 人名や地名など、簡単に入力候補に出てこないような文字の入力が困難
- 振り仮名を入力する際、ひらがなで書けばよいのかカタカナで書くべきなのかが把握できない
- 入力確定した文字が、ひらがななのかカタカナなのか、または漢字なのかを確認できない
私はこれまで、インターネットショッピングのユーザー登録など、Web上で文字の入力が必要な作業は自宅のパソコンで行い、実際の買い物はiPhoneのVoiceOverを使って行っていました。入力している文字の詳細が分からない場合、住所の入力を誤ってしまったり、指定された形式で振り仮名が入力できないために登録を完了させることができないケースが少なくなかったからです。しかし、iOS 6で可能になった漢字の説明読みを利用することでこのような問題が解決され、Webをはじめとした様々な文字を扱う場面での可能性が広がりました。
このところ私は、日常生活の中でパソコンを使用することが少なくなり、ほとんどの作業をiPhoneで行っています。iPhoneで文字の詳細が確認できるようになったことで、作業によっては今後ますますiPhoneだけで完結できることが増えるのではないかと期待しています。
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