0から学ぶ スクリーン・リーダー入門セミナー、ご参加ありがとうございました
11月11日の午後、当社セミナールームで0から学ぶスクリーン・リーダー入門セミナーを実施いたしました。当日は雨のために足もとの悪い中、たくさんの方々にご参加いただきまして、どうもありがとうございました。
セミナーからだいぶ時間が経ってしまいましたが、本エントリーでは、当日のセミナー概要と、終了後にいただいたご質問をご紹介します。
このセミナーの目的
「Webアクセシビリティ」の話題の中で、必ずといってもいいくらい登場するのが、スクリーン・リーダーをはじめとした音声読み上げ環境ではないでしょうか? しかし、このような支援技術に関しては、何ができて何ができないのか、といった情報が十分に浸透していません。その結果として、スクリーン・リーダー利用者向けの専用ページが作成されたり、独自の読み上げ機能をWebサイトに付加したりすることが、アクセシビリティ対応だと考える方も少なくないのが現状ではないでしょうか。
そこで本セミナーでは、できる限り多くのデモンストレーションを見ていただくことで、スクリーン・リーダーの充実した機能を理解していただくことを目的としました。ややかけ足となってしまったことが心残りですが、参加者の皆様に、これまでとは違った観点でスクリーン・リーダーの機能を見ていただけたのではないかと思っています。今回のセミナーでお伝えしようとしていたのは、以下のような事柄です。
- スクリーン・リーダーはコンピューターの画面情報を音声や点字で表現するソフトウェアです。スタートメニューやデスクトップの読み上げ、さまざまなアプリケーションの画面情報の読み上げができます。
- 一方音声ブラウザーは特に、Webコンテンツの読み上げに特化したソフトウェアで、Internet ExplorerやFirefoxといったブラウザーと連動して動作します。
- 音声読み上げ環境の利用者は、Webを通じてニュースサイト等から情報を入手するだけでなく、インターネットバンキングやショッピングなどのさまざまなサービスが利用できます。
- 場合によっては、音声読み上げのために配慮されたページが、他の音声読み上げ環境の利用者の情報アクセスの効率を下げてしまうこともあります。
- ニュースサイトの閲覧など、特定の作業を効率化するための専用ソフトウェアもあります。用途が決まっている場合は、専用のソフトを用いたほうが、効率よく情報にアクセスできることもあります。
- これまでのスクリーン・リーダー開発では、対応アプリケーションを増やしたり、読み上げ音声の質を改良したりと、スクリーン・リーダーの基本的な機能の開発が中心でしたが、今後は、利用者の利便性を向上させる追加機能の開発が行われていく見込みです。
いただいたご質問について
今回のセミナーでは、セミナーの終わりに以下のようなご質問をいただきました。
- 1. スクリーンリーダーと音声ブラウザーの違いがよくわからない。音声ブラウザーだけを使うことは可能か?
用途がWebコンテンツの閲覧等に限定されますが、音声ブラウザーだけを使用することも可能です。ただし、Windowsの操作全般の読み上げを行いたい場合は、まずはスクリーン・リーダーを起動する必要があります。
- 2. iPhoneの音声読み上げが紹介されていたが、Android携帯やWindows Phoneではどうか?
Android OS用のアクセシビリティ機能に関しては、海外で開発が続けられています。特に、以下のAndroid 4.0に関する動画によるアクセシビリティ機能のデモンストレーションが興味深いです。
- Android 4.0 Accessibility Demo: Turning on Accessibility - YouTube
- Android 4.0 Accessibility: Exploring the Launcher - YouTube
Windows Phoneに関しましては、Windows Phoneのアクセシビリティ機能に関する情報がありました。現在は、まだスクリーン・リーダー機能はなさそうです。
- 3. 広告だけをスキップするような機能はあるのか?
スクリーン・リーダーには基本的に、広告をスキップして読み上げる機能はありません。情報の提供方法にもよりますが、広告は基本的にはそのまま読み上げられます。ただ、例えばニュースサイトの読み上げに特化したソフトウェアであれば、ニュースの本文以外を読み飛ばすことが可能ですので、それらの利用者は広告を読むことなくコンテンツにアクセスできます。
- 4. 音声エンジンの切り替えについて。言葉が変われば、自動的に切り替わるものなのか?
今回のセミナーでご紹介したiPhoneの読み上げ言語の切り替えは、lang属性を用いることで、コンテンツの特定の部分の読み上げ言語を変更しています。しかし、PC-Talkerでは、コンテンツにアルファベットが出てくると、音声エンジンを英語に切り替えて読み上げる機能があり、両者は異なっています。
上記のご質問やアンケートの結果などから、このようなWebアクセシビリティに取り組んでいらっしゃる方々向けのセミナーを継続的に開催していくと良いのではないかと感じました。
ミツエーリンクスでは、WCAG準拠やJIS X 8341-3対応をはじめ、さまざまなWebアクセシビリティ関連サービスをご提供しています。是非アクセシビリティのページをご覧いただき、お気軽にお問い合わせください。