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Authoring Tool Accessibility Guidelines(ATAG)

2006年12月13日
アクセシビリティ・エンジニア 中村

情報アクセシビリティ国際標準化セミナー2006のエントリー内、質疑応答の部分で予告があったことをお伝えしておりましたが、その予定通りにAuthoring Tool Accessibility Guidelines(ATAG) 2.0 Working Draftの最新バージョンが12月7日に公開されました。ひとつ前のバージョンが2005年11月23日付けですので、約1年ぶりのアップデートということになります。

当BlogではWeb Content Accessibility Guidelines(WCAG) 2.0の最終草案については既に何度か取り上げてまいりましたし、Webコンテンツに直接関わるガイドラインということもあって、関心度も高く、また内容をご存知の方も多いものと思われます。その一方で、今回アップデートされたATAG 2.0については、オーサリングツール、すなわちWeb制作者にとっては作る対象ではなく使う道具のガイドラインであり、比較的話題に上がることも少ないといえるでしょう。しかしながら、Web制作における重要な要素のひとつであり、Webアクセシビリティを考える上で重要なガイドラインのひとつであることは間違いありません。

そこで、今回のエントリーではATAGとはどんなものかということについて、あまりご存じない方にも理解していただけるように、Web Accessibility Initiative(WAI)の情報を基に簡単にまとめてみることにします。

オーサリングツール

まず、オーサリングツールとは何か、ということから確認してみましょう。一般に、オーサリングツールというと音楽やDVDなどの作成ソフトなど、さまざまなものを作るためのソフトウェアを指すわけですが、ここではその中でもWebの制作に関連するものである、と考えられます。ATAG Overviewでは「WebページやWebコンテンツを制作する際に使用するソフトウェアやサービスである」としています。
ATAG 2.0では、1.1 Definition of authoring toolにおいて、もう少し詳しく定義していますが、前述の内容が基本であるといえるでしょう。

オーサリングツールの種類

では、具体的にはどのようなツールが含まれるのでしょうか。これについても、ATAG Overviewの説明がわかりやすいと思いますので、以下に抜粋してみます。

ひとつめの例として挙がっているHTMLエディタだけではなく、Webに関連する各種ツールが対象となっている点は注目すべきところでしょう。特に、CMS、Blog、WikiなどはWeb制作者がインターフェースの変更を行うことも考えられますので、そういった意味でも注目すべきガイドラインである、といえます。

ATAG

ここまででオーサリングツールについてある程度理解していただけたかと思いますが、本題であるATAGはどんなガイドラインなのでしょうか。これについても、ATAG Overviewを参照したいと思います。
ATAGはWAIの策定するアクセシビリティガイドラインシリーズのひとつで、この中にはWCAGと、User Agent Accessibility Guidelines(UAAG)が含まれています。
ATAGの内容は、大きくふたつに分かれているといえます。ひとつは、「Web制作者がアクセシブルでWCAGに準拠したWebコンテンツを作ることをどのようにオーサリングツールが促進すべきか」についての定義です。すなわち、オーサリングツールを使って、アクセシブルなコンテンツを作成できるかどうか、というところがポイントとなります。
もうひとつは「障害者も使うことができるように、どうやってオーサリングツールをアクセシブルにするか」についての説明です。つまり、ツールそのものが誰でも使えるようにアクセシブルになっているかどうか、がポイントとなるわけです。

以上、簡単ではありますが、今回はATAG Overviewを参照しながら、草案が改訂されたばかりのATAGについての概要をご紹介いたしました。Web制作者にはコンテンツのガイドラインであるWCAGばかりが注目されがちではありますが、今回の改訂をきっかけにオーサリングツールのガイドラインであるATAGや、またユーザー・エージェントのガイドラインであるUAAGなどについても学習してみてはいかがでしょうか。

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