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アクセシブルなサイトができるまで(その3)

2006年3月8日
アクセシビリティ・エンジニア 中村

その1その2と実際のサイト制作に入る前の段階である目的の設定について述べてきました。今回のエントリーではその目的のためには何をすべきかについてを扱っていきます。

ここで基準となってくるのがWAIが策定しているWCAGや日本工業規格の1つであるウェブコンテンツJISなどの指針です。

では、これらの指針全てに準拠しなければならないのでしょうか。もちろんこれらを全て満たすことができれば、かなりアクセシビリティの高いWebサイトができあがるはずです。しかし、それはあまり現実的な目標とはいえないでしょう。コストやコンテンツの内容による制限もありますし、継続的にサイトを運用する際の負担も大きくなってしまいます。せっかくアクセシビリティの高いサイトを制作しても、時間とともに非アクセシブルになってしまっては何の意味もありません。そこで、いったいどうすればいいのかということになりますが、ここで今までに設定した「目的」が重要となってくるわけです。例えば国や地方公共団体であれば、工業標準化法第六十七条においてJISを尊重する義務がありますので、最優先で準拠する必要があるでしょう。一方、個人で目の見えない人の為の情報サイトを作ろうとしているならば、音声ブラウザに対応する為の指針に優先的に準拠していく必要があるわけです。

WCAG 1.0にしても現行のウェブコンテンツJISにしても、優先度およびそれに近いものが設定されている為にその部分をクリアすることだけに注意が向いてしまいがちです。確かに優先度の高い指針から満たしていくことで、より多くの人がアクセスできるサイトになっていくとは思いますが、アクセスしなければならない人、アクセスしてほしい人は誰なのかというサイト本来の「目的」を常に念頭において、その上でさらに多くの人がアクセスできる環境を作っていけるようにすることが最も大事なことではないでしょうか。内容が伝えたい人に伝わらなくてはせっかくのサイトが無駄になってしまいかねない、ということを忘れないでいただきたいと思います。

ここまでで目的を明確にして具体的に設定し、何をすべきかまでを決める話をしてきました。いよいよ次は実装、そして検証する段階になるわけですが、ここは各指針ごとに違う内容になってしまいますので別の機会のお話として、次回はサイト作成後の運用について述べた上で、このシリーズを終えたいと思っています。

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