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「辻ちゃん・ウエちゃんのアクセシビリティPodcast」第13回 後編

2008年4月14日
アクセシビリティ・エンジニア 中村

アクセシビリティPodcast、第13回、後編としてListener's Voiceをお届けいたします。

概要

第13回 後編では、先日メールでいただきましたご質問への回答ということで、ルビのアクセシビリティについての話題をお届けいたします。 なお、話題にあがっているサイトなどのリンク先につきましては、「全文を読む」のリンクよりテキスト化された内容でご確認ください。

聴取方法のご案内

ブラウザ上で再生される方は、下記のFlash Playerをご利用ください。

ダウンロードしてその他のプレイヤーで再生される方は、ダウンロードボタンよりmp3ファイルをダウンロードの上、ご利用ください。

音声がご利用いただけない環境の方には、本エントリーの最後にテキスト化された内容を提供いたしております。

また、iTunesなどRSS対応のソフトウェアをご利用の方には、辻ちゃん・ウエちゃんのアクセシビリティPodcast用RSSも提供いたしております。

なお、ご意見、ご感想などございましたら、当エントリーのコメント入力フォームよりお寄せください。たくさんのご意見をお待ちいたしております。

それでは、どうぞお楽しみください!


「辻ちゃん・ウエちゃんのアクセシビリティPodcast」第13回 後編MP3ファイルのダウンロード

「辻ちゃん・ウエちゃんのアクセシビリティPodcast」第13回 後編 テキスト

植木、辻(以下、二人):
辻ちゃん、ウエちゃんのアクセシビリティPodcast、シーズンスリー、いぇ~い!(拍手)
辻:
拡大版でお送りしておりますアクセシビリティPodcast、それでは引き続き後編のListener's Voiceをお楽しみ下さい。
Listener's Voice
辻:
今回もListener's Voiceにご質問をいただきました。くせげさんというペンネーム、
ウ:
はい。
辻:
の方からのメッセージです。じゃ、ちょっとウエちゃんご紹介していただけますか。
ウ:
はい。「辻ちゃん・ウエちゃんのアクセシビリティPodcast、辻様、植木様、ご担当者様、突然のメールで大変失礼致します。」
辻:
すごい、丁寧ですね。
ウ:
ねぇ。
辻:
ありがとうございます。
ウ:
えー、「札幌市でウェブ制作などの会社に所属しております、ペンネームは、くせげ、でお願いします。」
辻:
はい。
ウ:
札幌ですよ。
辻:
札幌。
ウ:
はい。えー、「先日、某サイトで、ルビ」、ふりがなですね、
辻:
はい。
ウ:
「を必須項目としたサイトを制作しました。当然、ルビについてアクセシビリティでなんらかの規定があるかと思いまして、色々探しました。」で、「『Webアクセシビリティ』も自腹で買い込み」、あ、あの書籍ですね。
辻:
はい、はい、はい。
ウ:
「読みふけりましたが、残念ながらルビについては何も触れられておりませんでした。」
辻:
はい。
ウ:
で、「私も誤解していたのですが、rubyタグは、IEの独自タグだと思ってましたが、XHTML 1.0で規定されているのですね」と。
辻:
あぁ。
ウ:
これあれだよね。1.1だよね。確かね。
辻:
あぁ、そうなんですね。
ウ:
XHTMLね。ええ。「しかし、ブラウザでは実装されていないのが、実情のようです。やはりルビは日本語圏だけの問題なのでしょうか?」
辻:
うーん。
ウ:
これはね確か、えーと、中国、中国語とかでもそういう問題が、
辻:
そうですね。
ウ:
あるという話を聞いたことがありますね~。
辻:
はい。
ウ:
で、えー、「最近、読みにくい名前や固有名詞が増えてきました。そういう意味では、ルビの重要性が増していると感じました。また、日本語がしゃべれても、過去の戦争の被害者などで、書けない、読めない方がいらっしゃいます。」
辻:
うーん。
「そういう方々にもアクセスしやすいサイトとはどんなものか、ルビについてアクセシビリティとの関連性、有効性、また、どのようにアプローチすべきか、ご指南して頂きたいと思います。」
辻:
なるほど。
ウ:
という事なんですけれどもね。
辻:
はい。じゃ、まずスクリーン・リーダー音声ブラウザの対応状況から簡単にお話したいんですけれど。
ウ:
はい。
辻:
スクリーン・リーダーと音声ブラウザ、日本にまぁ、10種類以上のものがあるんですけど、
ウ:
はい。
辻:
現在ルビの読み上げができるのは、ホームページ・リーダーの3.04とネットリーダー、
辻:
はい。
辻:
だけなんですね。
ウ:
なるほど。
辻:
で、今回はまずルビに対応していないJAWSがウェブサイトをどのように読み上げるかというのをですね青空文庫の「坊っちゃん」という、
ウ:
はい。
辻:
ルビがたっくさん振ってあるコンテンツを読ませてみましたので、
ウ:
はい。
辻:
この音声を聞いてみてください。
ウ:
はい。
JAWSの音声:
だいくのけんこうカッコヒラキかねこうカッコトジとさかなやカッコヒラキさかなやカッコトジのかどカッコヒラキかくカッコトジをつれてテンもさくカッコヒラキもさくカッコトジのにんじんばたカッコヒラキにんじんばたけカッコトジをあらしたことがあるマル
辻:
これがですね、ルビが振られた状態で、対応していないスクリーン・リーダーの読み上げになります。
ウ:
カッコ、カッコトジ。
辻:
あぁ、ここの中にあの、読み方のふりがなが入っているんですね。
ウ:
なるほど。
辻:
それで、今度はネットリーダーでルビの読み上げが出来る状態にして、これ、デフォルトだったかと思うんですが、読ませた場合の音声を聞いてください。
ウ:
はい。
ネットリーダーの音声:
だいくのかねこうとさかなのかくをつれてもさくのにんじんばたけをあらしたことがある
辻:
結構なめらかに読みますよね。
ウ:
うーん。
辻:
なので、スクリーン・リーダー、音声ブラウザではネットリーダーやホームページ・リーダーが対応しているという状況になってます。
ウ:
対応していると、ふりがなだけを読むわけよね。
辻:
そうですね。これ、読み方が、ホームページ・リーダーの場合は文字列の前にふりがなを読むとか、文字列の後にふりがなを読むとか、または文字列の代わりに読むとかいくつか設定ができるんですけど、
ウ:
ああ、なるほど。それはユーザーが選べると。
辻:
そうですね。
ウ:
なるほどね。
辻:
で、ネットリーダーは、オンの時は文字列の代わりにルビを読んでます。はい。
ウ:
うん。で、このルビ要素なんですけど、XHTML1.1から定義されていると思うんですけれども、
辻:
はい。
ウ:
これ実際使うとデフォルトだと漢字の上にちっちゃくふりがなが付くような感じになるんですけど、
辻:
はい。
ウ:
まぁ、非常に読み辛いかなぁ、と。
辻:
うーん。
ウ:
画面見ている人にとっては、ふりがなはいい情報、ありがたい情報なんですけど、
辻:
はい。
ウ:
ちょっと読み辛いかなぁ、という気がしてまして、
辻:
はい。
ウ:
これ、スタイルシートでですね、ruby-positionというプロパティ(参考リンク:W3C i18n article: Ruby Markup and Styling)があるんですけれども、それでinlineを指定してあげるとカッコ書きでルビとしてマークアップしたふりがなが漢字のすぐ後にですね、
辻:
はい。
ウ:
カッコ書きでつくと。
辻:
あぁ、なるほど。
ウ:
見た目の表示がふりがなも普通のテキストと同じ大きさで、読みやすく表示されると。
辻:
なるほど。
ウ:
という事なんで、まぁ、見た目のことも考えるとruby-positionでinlineという指定をしてあげた方がいいんじゃないかなと僕個人的には思います。
辻:
僕はですね、スクリーン・リーダーを使っている立場から言いますと、結構この青空文庫の古い書籍のようにルビが多用されている場合は、対応していないスクリーン・リーダーで聞くと文章自体がわからないぐらいカッコの中にふりがなが入ってきますよね、
ウ:
うん。
辻:
だからちょっと使い辛いかなぁ、っていう気はしているんですけど、
ウ:
うん。さっきのね夏目漱石のやつは全部の漢字にふりがな振ってあったので余計になんかこう、
辻:
あぁ、そうですね。
ウ:
聞きづらかったかもしれない。まぁ、実際には必要なものだけ、
辻:
はい。
ウ:
えー、ふりがなをつけるという形になるので、まぁ、あそこまで、
辻:
そうですね。
ウ:
カッコ、カッコトジって聞こえてこないと思うんですけど(笑)。
辻:
(笑)。はい。
ウ:
まぁ、でも、確かに対応していないスクリーン・リーダーもあるので、どうするか迷うところではありますが。まぁ、ルビであればルビとしてちゃんとマークアップをして、
辻:
はい。
ウ:
まぁ、対応していないスクリーン・リーダー、まぁ、特にJAWSはね、JAWSあたりにはね、ぜひ対応して欲しいんですが、
辻:
うん、あのー、そうですね、スクリーン・リーダー側でも、あの、
ウ:
対応を進めて欲しいなぁ、と、
辻:
はい。
ウ:
いう気はしますね。
辻:
はい。
ウ:
あとはそのruby要素ってXHTML 1.1から定義されているものなので、
辻:
はい。
ウ:
HTML 4.01とか、XHTML 1.0を使っている場合にどうしたらいいのかという話がありますが、
辻:
はい。
ウ:
まぁ、これも僕個人的な意見なんですが、1.1からという要素ではありますが、別に使ってもHTML 4.01とかXHTML 1.0で使っても対応しているブラウザではちゃんとふりがなとして扱ってくれるので、まぁ、バリデーションという意味から行くとちょっと外れちゃうのかもしれませんが、
辻:
はい。
ウ:
別にマイナスは無いしですし、寧ろプラスになる部分があるのでこれはあえて使ったほうがいいのでは、ruby要素を使った方がいいのではないかな、と、
辻:
なるほど。
ウ:
個人的には思ってます。
辻:
はい。
ウ:
はい。
辻:
ここでですね、突然ですが、
ウ:
はい。
辻:
特別ゲストを、
ウ:
おお!
辻:
お迎えしようかなぁ、と。
ウ:
なんと!
辻:
なんとですね、僕のボスのキダちゃん。
ウ:
キダちゃん!
辻:
キダちゃーん。
木達(以下、キ):
はい、辻ちゃんのボスのキダちゃんです。皆さんはじめまして。
辻:
はい、よろしくお願いしまーす。
キ:
よろしくお願いいたしまーす。で、早速あのruby要素についてお話したいと思うんですが、
辻:
はい。
キ:
割と、その歴史は古くてですね、かつてはWindows版のInternet Explorerの5から独自に先行して実装されてきたんですね。
辻:
はい。
キ:
で、ちなみにMac版のIE、今は亡きブラウザですけども、
辻:
はい。
キ:
こちらでも実は対応がされていました。
辻:
おお~、なるほど。
キ:
正式にW3Cの仕様として盛り込まれたのは、お二方ご紹介済みのXHTML 1.1、こちらからですね。
辻:
はい。
キ:
Ruby Annotationモジュールとして、組み込まれました。
辻:
はい。
キ:
ということです。で、ここでちょっと、メディアタイプというお話をしたいんですけども。
辻:
はい。
キ:
メディアタイプというのは、あるデータがどのような種類なのかを指定するための存在なんですね。
辻:
はい。
キ:
で、XHTML文書というのはXMLでもありHTMLでもあると。両方の性質を兼ね備えた文書、なんですけども、これをですね、まぁ、XMLとして処理させるか、HTMLとして処理させるかというのはこのメディアタイプの指定内容によって決まります。
辻:
はい。
キ:
従来、そのXHTMLの1.1というのはですね、XMLとして処理するように指定するメディアタイプを使うべきだと、いう風にされていまして、実はこれが一つの要因となってXHTMLの1.1ひいてはruby要素があまり流行ってこなかったという経緯があります。
辻:
はい。
キ:
ただ、実はこのメディアタイプの指定に関して、最近動きがありまして、まぁ、XHTMLの中でもHTMLと互換性のあるXHTMLドキュメントについてはHTMLとして処理するように指定するメディアタイプ、具体的にはtext/htmlというものなんですけども、これを使っても良いよ、という風にするような動きが実はあるんですね。ですからウエちゃんが先ほどお話しましたけれども、まぁ、今後はですねもっともっとこう、ruby要素、まぁ、使い出が出てくるんじゃないのかなぁ、と思っています。
ウ:
さっすがWeb標準のエバンジェリスト、キダちゃんですね~。
辻:
そうですね~。キダちゃんお忙しい中、ご登場ありがとうございました。
ウ:
ありがとうございました。
キ:
ありがとうございました。
辻:
はい、ということで、お答えになりましたでしょうか。
辻:
それではアクセシビリティPodcastからお伝えしたいことがございます。
ウ:
えーっとですね、John Slatinさんというですね、
辻:
はい。
ウ:
アメリカのテキサス大学オースチン校の教授をやっている方なんですが、えー、このJohn Slatinさんが先日亡くなりました。
辻:
はい。
ウ:
John Slatinさん、多分リスナーの皆さんも名前ご存じないと思うんですけれども、W3CのWCAGワーキンググループで僕が一緒にやってきた人なんですけれども、彼実は全盲でして、
辻:
あ、はい。
ウ:
いつもあの盲導犬を連れてて。で、非常に大柄なんですけども、いつもこう、にこやかなとても素敵な方だったんですけども、えー、大分前から病気を患っていまして、先日、まぁ、亡くなったという報せが届きました。で、えー、Johnはですねすごく日本語についても理解のある人というか、一生懸命理解しようとしてくれてて、
辻:
はい。
ウ:
例えばWCAG 2.0の中にもですね読み仮名を付けなければいけないとか、それから、単語の間にスペースを入れちゃいけないとかですね、
辻:
はい。
ウ:
いわゆるJIS規格にはあったけれども、WCAGには無かったような項目を僕らは日本から提案していたわけですけれども、それを誰よりもですね理解しようとしてくれて、で実際に今WCAG 2.0のラストコールワーキングドラフトにはきちんとそれが入っているんですけども、
辻:
はい。
ウ:
これもやっぱりJohnがいたから、それが出来たという風に思っています。
辻:
はい。
ウ:
で、今これBGMに流れている歌、これはJohnが亡くなった時にですね、同じWCAGのワーキンググループのメンバーのDavid MacDonald、彼はカナダのアクセシビリティのコンサルタントなんですけれども、
辻:
はい。
ウ:
以前、ブロードウェイなんかでも演奏したぐらいのですね、腕のあるミュージシャンでもあるんですが、
辻:
はい。
ウ:
ま、彼がそのJohnのために作った歌と。
辻:
なるほど。
ウ:
ということで、まぁ、あの、John Slatin、えー、初めて聞く人も多いと思うんですが、ぜひですね、リスナーの皆さんには彼の名前を知っておいて欲しくてお伝えしました。
辻:
はい。ご冥福をお祈りいたします。
辻:
ということでアクセシビリティPodcast本日もミツエーリンクスのスタジオからお送りしてまいりました。
ウ:
はい。
辻:
アクセシビリティPodcastでは、引き続き皆様からのご意見、ご感想、ご質問などをお待ちしております。
ウ:
はい、お送り先は?
辻:
はい、エーイチイチワイ、アットマーク、ミツエードット、シーオードット、ジェイピー。エーイチイチワイ、アットマーク、エムアイティーエスユーイー、ドット、シーオードット、ジェイピーです。(編注:a11y@mitsue.co.jp)
ウ:
はい。
辻:
それでは、
二人:
アディオス、アミーゴス!

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