Webサイトのアクセシビリティを高めるための方法や国内外の関連情報など、さまざまな角度からWebアクセシビリティに関する話題をご提供していきたいと思います。
2006年09月08日
NFB 対 Target社訴訟の判決
アクセシビリティ・エンジニア 中村
今年2月14日付けのエントリーでお伝えいたしました、the National Federation of the Blind(NFB)がTarget社のWebサイトTarget.comを相手として起こした訴訟の判決が、アメリカ時間の9月6日水曜日に下されました。訴訟の内容につきましては、前述のエントリーをご覧いただくことにしまして、結果を述べてしまうことにいたしましょう。
複数の米国発のニュースソースによりますと、連邦地方裁判所の判事はWebサイトが視覚障害者にとってアクセシブル(利用可能)でない場合、小売業者は法に訴えられる可能性がある、という裁定を下しました。Target社はこの裁判の中で、自らのWebサイトをアクセシブルにすることを要求する法律はない、として棄却を求めていましたが、裁判所はこれを認めず、連邦および州の公民権法がTarget.comのようなWebサイトにも適用される、との判断を下したのです。
さて、気になるのはこの判決の与える影響、ということになりますが、Equal Justice Worksの会員であるMazen M. Basrawi氏は「裁判所は、インターネットを物理的な場所で提供するサービスを高める手段として使うときに、どんな公共施設も差別しないことを保証しなければならない、と法律が要求することを明確にした」点に注目しているとのことです。
これはすなわち、例えば車椅子で来店しても買い物ができる等、今まで物理的な店舗などに対して適用されてきた法律が、インターネット上の店舗などのサービスにも適用されていくことになる、という可能性を示唆しているのでしょう。
今回のTarget.comに関しては、原告側が指摘しているとおり、少なくとも訴訟が行われた時点においては、最低限のアクセシビリティも確保されていなかったわけですが、今後果たして何が基準となっていくのか、どのレベルまでが許容されるのか、そして日本へはどのような影響を与えていくのか、今後も米国での動きに注目していきたいと思います。