Webサイトのアクセシビリティを高めるための方法や国内外の関連情報など、さまざまな角度からWebアクセシビリティに関する話題をご提供していきたいと思います。
2006年09月05日
JAWS 7.10 英語版のテーブル表現方法
アクセシビリティ・エンジニア 辻
音声ブラウザやスクリーン・リーダーを使用していて、よく問題になるのが表の読み上げについてです。私もWebサイトを閲覧中に、この表はどのような順番で書かれているのだろうかと、実際の画面の表示のことが気になることがあります。
以下の表は、JAWS for Windows HeadquartersのTables with JAWSというレッスンページに記載されていたものです。
月 | 最高気温 | 最低気温 | 水温 |
---|---|---|---|
1月 | 70度 | 50度 | 64度 |
2月 | 71度 | 51度 | 65度 |
3月 | 77度 | 58度 | 69度 |
4月 | 81度 | 61度 | 73度 |
5月 | 88度 | 67度 | 79度 |
6月 | 89度 | 71度 | 82度 |
7月 | 90度 | 75度 | 84度 |
8月 | 90度 | 75度 | 86度 |
9月 | 89度 | 73度 | 82度 |
10月 | 82度 | 65度 | 78度 |
11月 | 78度 | 56度 | 71度 |
12月 | 72度 | 50度 | 64度 |
この表を、スクリーン・リーダーで読ませると、次のような順番で読み上げられます。
月
最高気温
最低気温
水温
1月
70度
50度
64度
2月
71度
51度
65度
(中略)
12月
72度
50度
64度
音声ブラウザやスクリーン・リーダーでは、このように表の各セルを縦に並べて表現します。この場合、行の項目数が増えるほど、利用者はどのセルがどの項目に対応しているのかがわかりにくくなってしまいます。もちろん、表を読み上げるためのコマンドを使用すれば、それぞれのセルの位置関係もわかるのですが、JAWS 7.10 英語版にはもっと簡単に画面上に表がどのように表現されているかを知ることのできる読み上げ方法が加わっております。
Document presentationという設定項目があり、上記のように縦にセルを並べて表現するsimple layoutと、表を画面どおりに表現するscreen layoutが選択できます。上記の表を、screen layoutで表現すると次のようになります。
月| 最高気温| 最低気温| 水温|
1月| 70度| 50度| 64度|
2月| 71度| 51度| 65度|
3月| 77度| 58度| 69度|
4月| 81度| 61度| 73度|
5月| 88度| 67度| 79度|
6月| 89度| 71度| 82度|
7月| 90度| 75度| 84度|
8月| 90度| 75度| 86度|
9月| 89度| 73度| 82度|
10月| 82度| 65度| 78度|
11月| 78度| 56度| 71度|
12月| 72度| 50度| 64度|
simple layoutでは、カーソルキーを上下に動かすと1セルを読み上げますが、screen layoutでは1行分の情報を|(縦線)で区切って表現します。
これにより、利用者は画面上の表が、どのように記述されているかをイメージすることができるようになるわけです。また、表の内容をクリップボードにコピーして利用する場合にも、表をそのままの形でコピーすることができるようになります。screen layoutの状態で点字ディスプレイで表を読んだ場合は、画面上の情報により近い状態で表を閲覧することができるようになります。
JAWS 7.10 英語版に搭載されている新しいテーブルの表現方法について書いてきましたが、我が国で利用されているスクリーン・リーダーや音声ブラウザには、まだほとんどテーブルをその画面イメージに近い形で表現できるものがないことから、日本語版JAWSの最新版にも、この機能が実装されることを強く願っております。