Webサイトのアクセシビリティを高めるための方法や国内外の関連情報など、さまざまな角度からWebアクセシビリティに関する話題をご提供していきたいと思います。
2006年06月28日
プレイスマーカとカスタムラベル
アクセシビリティ・エンジニア 辻
今回は、私が日常使用しております、JAWS for Windows Professional Ver.6.2 日本語版の、ふたつの強力なWebサイト閲覧のための支援機能をご紹介します。
プレイスマーカ
プレイスマーカは、ページ内の任意の場所にあらかじめ設定されたポイントに、すばやく移動できるキーコマンドです。例えば、Internet Watchのコーナーのひとつ、やじうまWatchは、いつも同じようなテンプレートを使用してページが公開されております。ただし、このページには見出しなど、私たちスクリーン・リーダーのユーザーが本文の開始位置として認識するための項目が用意されておりません。そこで威力を発揮するのがこのプレイスマーカです。やじうまWatchの本文は、次のような行の後に始まります。
リンク先の記事などがすでに消失していることもありますが、あらかじめご了承ください。
この行のところにプレイスマーカを設定します。すると、次回このページを訪れたときも、kキーを押すだけで簡単に本文のところに移動することができます。
カスタムラベル
私がよく訪れるWebサイトの中には、まだスクリーン・リーダーでは理解しにくいものが多くあります。もっとも多い問題は、リンク先の画像に代替情報となるテキストが設定されていないことです。頻繁に訪れるWebサイトでは、使っているうちにサイト内で読み上げられるファイル名(代替テキストが設定されていないために起こる問題)から、自分がどんなページに移動しようとしているかを把握することもできますが、JAWSの利用者なら、カスタムラベルという便利な機能を使用することで、代替テキストの設定されていない画像に、どのように読み上げさせるかのラベルを自身で設定することができます。
このように、Webアクセシビリティは制作者側だけが対応するものではなく、Webサイトを実際に閲覧する利用者側が、自身が使いやすいようにカスタマイズすることとの連携で、より高まっていくのではないかと考えます。制作者側のアクセシビリティ対応と、利用者の支援技術の活用の結果、より多くのサイトがアクセシブルになることを願っております。