Webサイトのアクセシビリティを高めるための方法や国内外の関連情報など、さまざまな角度からWebアクセシビリティに関する話題をご提供していきたいと思います。
2006年04月12日
ウェブコンテンツJISの第4章
アクセシビリティ・エンジニア 中村
いわゆるウェブコンテンツJISと呼ばれる「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス-第3部:ウェブコンテンツ」という規格は6つの章で本文が構成されています。その中でも第5章に関しては「開発・制作に関する個別要件」を取り扱っているため、アクセシビリティに配慮したWebサイトの開発者・制作者には比較的よく知られていると思います。一方、そのひとつ前の章にあたる第4章では「一般的原則」についての記述がありますが、この章は制作時に直接技術的な影響を受けることがない為、あまり意識されていない方も多いのではないでしょうか。
しかしながら、この第4章については序文に以下のように書かれています。
ウェブコンテンツの情報アクセシビリティを確保し,向上させるために,企画,設計,開発,制作,保守及び運用のすべての工程において配慮すべき一般的原則を規定している。発注者,開発者・制作者及び運用管理担当者・運用担当者のすべての人が理解すべきものである。
つまり、ウェブコンテンツJISに準拠するにあたっては発注者や運用に携わる人を含めた関係者すべてがこの章に書かれている「一般的原則」を理解すべきである、ということなのです。ここに書かれていることはまさしく基本ではありますが、それゆえに非常に重要なことでもあります。例えば、4.1基本方針には
- 高齢者・障害者への配慮
- 多様なプラットフォームへの配慮
- プロセスにおけるアクセシビリティの確保・向上への配慮
の3つが掲げられています。この中でもひとつめの高齢者や障害者への配慮という点については理解されている方も多いと思うのですが、残りのふたつもアクセシビリティに関する項目である、ということは忘れられがちだと思います。
その他にも4.2では基本的要件として、さまざまな身体特性への対応、4.3では推奨要件として認知・記憶への配慮、多様な環境への配慮、さらに機器に慣れていない利用者への配慮といった項目が示されています。
ということで、開発や制作の部分ばかりが注目されがちなウェブコンテンツJISではありますが、関係者すべてが仮に技術的なことはわからなくとも、その根底にある第4章の重要性について確認した上でWebサイト制作に取り掛かることができれば、よりアクセシブルなサイトができていくのではないかと思います。
なお、規格の詳細は日本工業標準調査会のサイト内、JIS検索で「X8341-3」という規格番号を検索することによりpdfファイルを閲覧することができますので、原文を確認したいという方はそちらでご確認ください。