Webサイトのアクセシビリティを高めるための方法や国内外の関連情報など、さまざまな角度からWebアクセシビリティに関する話題をご提供していきたいと思います。
2006年03月01日
アクセシブルなサイトができるまで(その2)
アクセシビリティ・エンジニア 中村
前回のエントリーでは「目的を明確に」することについて述べました。続きとなる今回はどのような事を考慮して目的を決定していくべきなのか、という点について述べていきたいと思います。
さて、具体的に何を基準にして目的を設定するかということですが、情報発信者が「何を」「誰に」伝えたいのかという事が要点になってくると思います。例えば、企業であればECサイトや会社情報、自治体であれば生活や地域に関する情報など、サイトによって内容や対象はさまざまでしょう。
まず、内容によって自ずとその目的は定まってきます。ECサイトであれば商品を数多く売ることが目的となり、アクセス数アップのためのWebアクセシビリティが求められるでしょう。会社情報であればより多くの人に認知してもらうこととともに、CSR(企業の社会的責任)を示すためのWebアクセシビリティが必要となってくるかもしれません。
また、対象の設定も重要な要素となります。自治体のように公共性の高いサイトにおいては、子供や高齢者、外国人などを含むさまざまなユーザーを想定したWebアクセシビリティが必要となります。具体的には難しい用語の使用を避けたり、説明を付けるなどといったことを考慮しなくてはなりません。しかし、ビジネスユーザー対象のサイトであればその説明が不必要となり、むしろアクセシビリティを低下させるという可能性も出てきてしまいます。
以上のようにサイトの内容と対象を考慮すれば、何故アクセシブルなWebサイトにしていくのかという理由、そしてどのような状態になればよいのかという一定の達成基準という目的が見えてくると思います。基準の具体例としては音声ブラウザによるアクセス数の増加、ガイドラインの策定とその遵守などが挙げられるでしょう。一方、CSR活動としての取り組みなど抽象的な目的の場合においても、報告書の作成など具体的な成果物を挙げることにより明確な基準が見えてくるとともに、その効果も感じられるようになると思います。
これで目的は定まりました。では何から始めればよいのか、ということを次回は述べていきたいと思います。