Macのスクリーン・リーダー、VoiceOverのクイックナビゲーションモード
この記事は、Accessibility Research and Experiences at Yahoo's Accessibility Labに Victor Tsaran 氏が書かれた記事、Quick Navigation Mode In VoiceOver Screen Reader for the Macを翻訳したものです。なお、当Blogは翻訳の正確性を保証いたしませんので、必要に応じて原文をご参照ください。
VoiceOverはMac OSに搭載されているスクリーン・リーダーで、このOSが動くすべてのコンピューターで利用可能です。つまり、すべてのMacの利用者は、アクセシビリティのテスターであっても、開発者であっても、追加の出費をすることなくスクリーン・リーダーの機能が利用できることになります。
VoiceOver初心者がこのスクリーン・リーダー使用中に直面する問題の一つに、ショートカットキーを用いて効果的にWebコンテンツやMac OSのユーザーインターフェース内で移動する方法の難しさがあります。
このチュートリアルでは、あまり知られていないけれどとても強力なVoiceOverスクリーン・リーダーの機能、クイックナビモードについて学習することができます。クイックナビモードでは、他のVoiceOver用ショートカットキーを使用することなくさまざまな移動コマンドを使用できます。特に、Webページ内での移動に効果を発揮します。最近リリースされたMac OS 10.7(Lionとして知られています)において、クイックナビモードの機能に重要な更新が行われました。
それでは始めましょう。
基本情報
- Macセッションのあらゆる場面においてVoiceOver機能を切り替えるには、COMMAND+F5を押します。
- クイックナビモードを切り替えるには、左右の矢印キーを同時に押します。このキーの組み合わせを押すたびに、VoiceOverは"クイックナビ入"または"クイックナビ切"と通知します。
テキストフィールド内で入力したり、その他の編集操作を行う際は、このクイックナビモードをオフにしてください。そうすることで、矢印キーを使って文字ごとまたはその他のテキストユニットごとに移動することができます。
クイックナビゲーションコマンド
クイックナビモードのオンとオフを切り替えるには、左右の矢印キーを同時に押してください。
"単語"、"文字"、"見出し"、"リンク"、"フォームフィールド"といった順番で次のナビゲーションモードに切り替えるには、右と下の矢印キーを同時に押してください。このキーの組み合わせが押されるたびに、VoiceOverは現在のナビゲーションモードを通知します。
前のナビゲーションモードに移動するには、左と上矢印キーを同時に押してください。このキーの組み合わせが押されるたびに、VoiceOverは現在のナビゲーションモードを通知します。これらを、VoiceOverの"ローターコントロール"と言います。
選択されているナビゲーションモードで次の"見出し"等の項目に移動するには、下矢印キーを押してください。
選択されているナビゲーションモードで前の"見出し"等の項目に移動するには、上矢印を押してください。
現在のVoiceOverカーソル位置の項目をアクティベートまたはクリックするには、上下の矢印キーを同時に押してください。
リンクテキストやリスト項目の詳細を確認するなど、VoiceOverカーソル位置の項目を操作するには、右と下矢印キーを同時に押してください。
VoiceOverカーソル位置の項目の操作を終了するには、左と上矢印キーを同時に押してください。項目とやり取りするには、VoiceOverのテキストナビゲーション用のコマンドを使用してください。
Lionで何が変更されたのか
Lion上でのWeb閲覧は、拡張された"クイックナビモード"によってこれまでにないほど、より簡単になりました。以下で紹介するすべての機能を利用可能にするには、まず次の設定を行ってください。
- CONTROL+OPTION+F8を押して、VoiceOverユーティリティーを開きます。
- カテゴリーの中から、矢印キーを使って"コマンダー"オプションに移動し、TABキーを押して利用可能なコマンダーに移動してください。
- 右矢印キーを押して"クイックナビゲーション"タブに移動し、スペースバーで選択してください。
- TABキーで"クイックナビ使用時に単一キーのWebページナビゲーションを有効にする"というラベルに移動し、そのチェックボックスがチェックされていることを確認します。
- VoiceOverユーティリティーを閉じて、Safariブラウザーを起動します。
ここから先は、"クイックナビモード"を使用している場合、Webページの閲覧に単一キーによるナビゲーションが使用できます。例えば、以下のようなコマンドが有効です。
- HキーとShift+Hキーで見出し間を移動できます。
- FとShift+Fでテキストフィールド間を移動できます。
- LとShift+Lでリンク間を移動できます。
- その他にも多数のコマンドがあります。
その他のクイックナビゲーション用のキーストロークを試すには、以下のようにしてください。
- "クイックナビモード"が有効であることを確認してください。
- CONTROL+OPTION+Hを押して、VoiceOverヘルプを開いてください。
- 下矢印キーで"コマンドヘルプ"まで移動して展開してください。
- 下矢印キーで"クイックナビゲーションオプション"まで移動して展開してください。
- 最後に、上下の矢印キーを使って利用可能なすべてのショートカットキーを確認してください。
以上が、VoiceOverの"クイックナビモード"について知っておかなければならない事柄のすべてです。もしもどのような単一キーのナビゲーションが利用可能か迷ってしまったら、以下を試してください。
キーボードヘルプモード
- CONTROL+OPTION+Kを押してVoiceOverのキーボードヘルプを有効化してください。
- 左右の矢印キーを同時に押して、"クイックナビモード"を有効にしてください。
- さまざまなキーの組み合わせを押しながら、VoiceOverの説明を確認してください。
- 再度左右の矢印キーを同時に押して、"クイックナビモード"を無効にしてください。
- 最後に、ESCAPEキーを押してヘルプモードを終了してください。
Macのスクリーン・リーダー、VoiceOverのナビゲーションコマンドをご活用ください!
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