NVDA 0.6p1での変更点
昨年の当Blogのエントリー、オープンソースのスクリーン・リーダーNonVisual Desktop Access (NVDA)でもご紹介しましたが、NVDAは無料でオープンソースのスクリーン・リーダーで、現在UAI研究会の有志の方にご協力いただき、日本語化作業を続けているものです。
先日行われたCenter on Disabilities' 2008 Technology & Persons with Disabilities Conference(通称CSUN)では、昨年リリースされた0.5の機能を向上させた、NVDA 0.6p1というバージョンが紹介されました。このエントリーでは、一部ではありますがほぼ1年ぶりとなるバージョンアップで変わった点についてお伝えします。
なお、この0.6p1というバージョンはオフィシャルなリリースではなく、CSUN2008用にリリースされた暫定版です。
入手先
前述のとおり、NVDA 0.6p1はCSUN2008用にリリースされたバージョンですので、オフィシャルサイトのダウンロードページには掲載されていません。下記のリンク先から入手してご利用ください。
- NVDA installer
- Windowsにインストールして利用できるNVDA
- NVDA portable [zip file]
- USBメモリなどにコピーして持ち歩けるポータブル版のNVDA
主な変更点
今回のバージョンで変更のあった項目の一部を抜粋してご紹介します。詳細につきましては、What's New in NVDA(英語)でご確認ください。
- 新しい仮想バッファによるWebコンテンツへのアクセス
- Firefox 3やThunderbird 3といったMozillaのアプリケーションで、前バージョンと比較しておよそ30倍のスピードでコンテンツを解析できるようになりました。
- 新たな言語サポート
- 前バージョンでの対応に加え、日本語を含む10ヶ国語に翻訳されました。
- 読み上げ
- 標準搭載のeSpeak(日本語には非対応)で、多言語対応や読み上げ速度の高速化が図られました。
- 英大文字入力時の通知方法が、ピッチを上げる、ビープ音を鳴らす、「キャップ」という読みとともに通知する三つの中から選べるようになりました。
- Ctrlキーを押して読み上げを停止した後、Shiftキーを押すことで停止位置から読み上げを再開できる機能が追加されました。
- NVDAが音声で読み上げる内容を、代わりに画面に表示させる機能が追加されました。これにより、晴眼者でNVDAが何を読み上げているかを確認したい方が、画面上で読み上げ内容を確認できるようになりました。
- マウス位置の情報
- マウス移動時に、移動先の内容を読み上げるほか、画面上でのマウス位置をビープ音で確認できるようになりました。音の高低で画面上の上下を表し、左右にビープ音を振り分けることで画面上の左右の識別がある程度可能になりました。
- ユーザーインターフェース
- NVDAの設定ウインドウがなくなり、その代わりとしてキー操作で開くことのできるポップアップメニューが採用されました。
このほかにも多くの機能が追加され、スクリーン・リーダーを必要としている実際のユーザーだけでなく、スクリーン・リーダーがどのように画面を読み上げるのかを確認したい多くの方にとっても、NVDAは便利なソフトウェアになったと考えられます。
日本語環境でも多くの方に利用していただけるよう、引き続き翻訳作業を続けていきたいと思います。
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