「辻ちゃん・ウエちゃんのアクセシビリティPodcast」第1回 後編
続きまして、本エントリーでは第1回の後編をお届けいたします。
概要
第1回後編は、今月のアクセシビリティヘッドライン後半、
- Opera 9.5 α版、Kestrel公開
- Webアクセシビリティ調査の結果、各社から相次いで公開
についての話題を扱っています。
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それでは、どうぞお楽しみください!
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「辻ちゃん・ウエちゃんのアクセシビリティPodcast」第1回 後編 テキスト
- 植木、辻(以下、二人)
- 辻ちゃん、ウエちゃんのアクセシビリティPodcast〜!
- 辻:
- 拡大版でお送りしております、アクセシビリティPodcast、それでは後半をお楽しみください。
- ウ:
- はい、じゃあふたつめいきましょうか。
Opera 9.5 α版、Kestrel公開
- 辻:
- 次のトピックなんですが、Operaというブラウザがありますが、その9.5、通称ケストレル(編注:Kestrel)でいいんですかね、発音は。
- ウ:
- おそらく。
- 辻:
- はい、Kestrelのα版が先日公開されました。このKestrelでは、スクリーン・リーダーに対応する、というような話がありまして、
- ウ:
- いよいよ?
- 辻:
- 私も、ええ、注目してみていたわけなんですが、
- ウ:
- Operaってすごいいいブラウザだよね。
- 辻:
- そうですね。ええ、ていうか実は残念なことにですね、僕はまだその良さが
- ウ:
- ああ、そっか。
- 辻:
- 実感できていない・・・んですが。
- ウ:
- でも、そのOperaがスクリーン・リーダーでも読めるようになりそう、という。
- 辻:
- なりそう、という話ですね。で、先日ちょっとあの、アクセシビリティBlogの方でも、簡単に紹介させていただいたんですけど、いくつかのスクリーン・リーダーを使って試してみました。残念ながらですね、スクリーン・リーダーで快適にアクセスできるという状態ではないんですが、まだまだこれから期待できるかなぁ、と思ってまして。
- ウ:
- これ、対応してくれそうなスクリーン・リーダーっていうとどのへんになるのでしょうか?
- 辻:
- Operaのサイトで挙がってたのが、まずJAWS、ですね。Job Access With Speech。
- ウ:
- まあ、JAWSはね、対応してくれなきゃね。
- 辻:
- そうですね。
- ウ:
- 他には?
- 辻:
- あと、Window-Eyes。
- ウ:
- あー・・・やはり。
- 辻:
- Window-Eyesもやはり海外ではユーザーが多いですよね。
- ウ:
- 日本語のスクリーン・リーダーはどうなんだろうね、このへんは。
- 辻:
- 実は残念ながら、日本語のスクリーン・リーダーに関しては、僕は情報を見ていないんですけど、JAWSは日本語版がエクストラさんから発売されていますよね。なので、今後、
- ウ:
- そうだね。英語版が対応すれば、大丈夫だよね。
- 辻:
- そうですね。使えるようになるかな、と思ってみてます。あと、オープンソースのスクリーン・リーダーでNVDAというものがありますが、こちらでも使えるようになる予定、とのことです。
- ウ:
- このね、NVDAってちょっと1回、機会があればこのPodcastでも紹介したい、ちょっと興味深いというか、おもしろそうな、新しいスクリーン・リーダーだよね。
- 辻:
- はい。という感じで、Kestrelの今後にも注目したいなぁ、と。
- ウ:
- Operaはね、本当にあの、いいブラウザで、例えばね、画面の拡大機能があったり、あと、弱視の人なんか、こう白黒反転させてたりするんだけど、そういうこともできたりとか、結構ね、あの画面を見ているユーザーにとっては、そういう機能がデフォルトで実装されているので、アクセシビリティという意味ではすごくいいブラウザ、実はいいブラウザなんですよね。
- 辻:
- なるほど。あの、実はちょっと前に聞いたことがあるんですけど、Operaって僕達スクリーン・リーダーユーザーが日常的に使っている見出しジャンプとか、そういうコマンドがキーボードから打てるんですよね。
- ウ:
- そうそう、そうそうそう。実は、[S]、[S]キーを押すと、もしそのページにちゃんと見出しがマークアップされていれば、その見出しのところにフォーカスがあたって、飛んでくれるんだよね。で、[W]を押すと、後ろから前に戻っていく、みたいな、だから[S]キーでどんどん下がっていって、[W]キーで戻っていって、という使い方ができるから、あの、マウス使えなくて、キーボードだけで操作しているユーザーにとっては、すごくね、便利な機能がついているんで、今度これでね、読み上げにも対応するってなると、かなりOperaは、さらにブラウザとしては進化する、と。
- 辻:
- そうですね。本当に選択肢、あの、スクリーン・リーダーを使っていると、一般的にはInternet Explorerをデフォルトのブラウザとして使っている方が多いと思うんですけど、あと最近ではJAWSを使って、Firefoxを使うとか、
- ウ:
- あー、そうだよね。
- 辻:
- わたしは日常仕事では、Firefoxを使っているんですけど、それにさらにブラウザの選択肢が増えるということはですね、やはりスクリーン・リーダーユーザーにとってもうれしいことですし、やはりいろんな人に対するアクセシビリティが高まっていく、というのは本当にうれしいですよね。
- ウ:
- なんか、英語の方だと、Mac OSもデフォルトで、VoiceOverっていうやつがあって、読み上げがOSでサポートしているっていうものがあって、まあ日本語では残念ながら、まだサポートをできていないみたいですけども、だんだんそうやってね、OSも含めて選択肢が増えていくっていうのはすごいいいことじゃないでしょうか。
- 辻:
- ですね。ますます、こうWeb制作にたずさわる我々としては、きちんと見出しや、リストなどの文書構造をマークアップすることは重要になってきますよね。
Webアクセシビリティ調査の結果、各社から相次いで公開
- 辻:
- では、最後のトピックなんですが、有限会社ユニバーサルワークスさんから、Webアクセシビリティ調査2007の結果が公開されました。他にも、株式会社インフォ・クリエイツさんも自治体のWebアクセシビリティ調査をおこなわれて、その結果を公開されています。で、この件に関して、ウエちゃん、どうですかね?
- ウ:
- これね、あの毎年ユニバーサルワークスさんって、三島の方に清家さんっていう人がやってらっしゃって、夫婦二人で。奥さんがやはり同じようにスクリーン・リーダーを普段使っている、ということで。毎年自治体、都道府県とか、政令都市とか、そういうところのサイトのチェックをして毎年結果を発表、この時期にしてるんですけど、なんかね、今回は結構いろんなところでとりあげられていて、
- 辻:
- そうですね。
- ウ:
- 今年は東京23区のサイトのチェックをしたということで、その結果も出てたんだけど、それを拾ってこう、一番イケてないサイトは板橋区、みたいなですね、そんなこうヘッドラインをつけたニュースサイトもあったりなんかして、
- 辻:
- 多かったですねー。いや、僕もあのGoogleアラートで、視覚障害者関係の話題ってのをずっと拾ってるんですけど、この数日どんどんアラートが増えてきまして、で、見に行くとどこどこのサイトはブービー賞、みたいな見出しとかですね。
- ウ:
- (笑)
- 辻:
- なんか違うんじゃないの、っていうような。あのユニバーサルワークスさん、とかは、ちゃんとランキングをするのが目的じゃないんですよ、っていうのをおっしゃってるにもかかわらず。やっぱりそういう見出しを見ちゃうと、どうしても読み手の頭の中にはそのランキングのことばかりが残っちゃうんじゃないかな、っていうのをちょっと懸念しながらみたんですが。
- ウ:
- まあ、あのね。ランキングって、今回のやつは順位がついてるわけじゃないんだけれども、順位がつくようなやつだと、結構、あの企業サイトなんかだと経営者の人たちが見たり、聞いたりすると、それをきっかけに何やってんだと、うちももっとしっかりやれ、みたいな鶴の一声がかかったりするんで、そういうプラス面があったりするんだけど、ちょっとね、今回の自治体のランキングの取り上げられ方はちょっとどうかな、っていうのはありましたけどね。
- 辻:
- そうですね。
- ウ:
- で、まあやっぱりやってるところはやってるし、やってないところはやってない。なんかこう二極分化してるというか、結構はっきり結果が分かれてるかな、っていうのが今年の調査結果、チャート表の見た感想というか、そんな感じですけどね。でね、総務省さんからですね、これは9月7日付ですかね、自治体へのアンケート調査、っていうやつの結果が発表されてまして、ちょっとこれ参考までにご紹介しておきますと、まず、ええと、いくつか聞いてるんですけど、Webアクセシビリティの認知度はどうか、っていうことで、これに関しては知っている、というのは78.2%、と8割くらいはアクセシビリティについては知ってる、と。
- 辻:
- ああ、やはりJISの影響ですかね。
- ウ:
- かな。で、聞いたことあるけど知らない、っていうのが17.6、まったく知らないってのが4.2%しかいなかった、ということで、まあJISが出て3年経って、地方自治体の担当者さんの間では、まあ少なくともアクセシビリティという言葉についてはもうほとんど知れ渡るようになったということで、じゃあJIS規格の認知度はどうかというとですね、ええと、内容を知っている、というのは42.2%、聞いたことがあるけど内容は知らない、っていうのが34.7、でまったく知らないが22.9、ということで、まあこの2割がまだね、まったく知らないっていう・・・担当者さんがいるっていうのがどうかという気がしますが。で、自治体に関してはですね、これ総務省が平成17年の12月にですね、みんなの公共サイト運用モデルってやつを作りました。これに関しては、活用してるのは10%しかないんですね。
- 辻:
- なるほど。
- ウ:
- まあ、知ってる、っていう人は36%とか、聞いたことあるって人は30.3%とかいるんですけど、実際に活用されているかっていうと10%しか取り組まれてない、と。
- 辻:
- なるほど、なんとも残念な結果ですねぇ。
- ウ:
- で、アクセシビリティへの取り組み状況に関しては、十分に取り組んでいる、というのが8.9%、まだ不十分で今後さらに進める予定ってのが55.4%。まあ、これ見るとね、取り組み自体は6割以上のところで進めている、と。で、これまでやってこなかったけどこれから進める、っていうのが26.4%で・・・これが信じがたいんですけどね、これまで取り組んでおらず、これからも取り組み予定なし、9.2%。
- 辻:
- やっぱり予算とかの関係ですかねぇ?
- ウ:
- うーん・・・どうなんですかね。
- 辻:
- 僕は日ごろからアクセシビリティBlogとかで、やはりアクセシビリティっていうのは、その特別なことをやるんじゃなくて、日ごろのちょっとした対応で高めていくことができるんだよ、という話を書くことがあるんですけど、やはり今後も取り組む予定がないってのが・・・うーん、なんとも言えず。あの、福祉の充実によって、引っ越すか引っ越さないかを決めるっていうのは、実は僕達の世界にも、日本にもあって、
- ウ:
- あー、そうなんだ。
- 辻:
- あの、ちなみにですね、僕が前に住んでいたアパートがあるんですけど、それを決めた時はWebでどれだけ情報がとれるか、っていうのを基準に決めましたね。
- ウ:
- あー、なるほどね。たしかにね、それ大事だもんね。
- 辻:
- そうですね。
- ウ:
- でね、一応このアンケート結果で、そのアクセシビリティに取り組む上での課題、ってのを聞いていて、一番多かったのが職員の理解、知識が不十分、これが61.9%。それから、さっき、辻ちゃんも言った、予算や人手が配分されない、44.6%。それから、チェックツールがない、とかですね、異動によりノウハウが引き継がれないってのが36.5%。
- 辻:
- あー、これは痛いですねぇ。
- ウ:
- これね、ユニバーサルワークスさんの調査結果みてても、2年前、3年前にはすごく良かったところが、意外と今年そんなによくなかったりとか、
- 辻:
- そういうケース、あるんですね。
- ウ:
- で、そういうのを見ると、ああきっと、担当者さんが異動しちゃったんだろうな、ってのがうかがえちゃったりするんですね。確かに自治体さんの悩みとしては、人事異動で人が入れ替わってしまって、まったく畑違いのところからWeb担当者さんになるっていうケースが非常に多いので、せっかくこう勉強しながら積み重ねていっても、それがあとに引き継がれない、またゼロに戻っちゃうっていうね、そういう悩みがあるっていう話はよく聞きますね。
- 辻:
- なるほど。
- ウ:
- まあたぶん、これは企業さんでも同じかな、って気はするんですけどね。自治体さんの場合には特にそういう傾向が顕著だっていうことは聞いたことあります。ということで、自治体のWebアクセシビリティ調査。辻ちゃんはなにか?
- 辻:
- そうですね、あの、うーん、まあ今公開されているのはどちらかというと静的コンテンツに対するアクセシビリティの調査だと思うんですよね。だから、まあ十分やってるっていう自治体があるとしても、電子申請までは手が回っていないんじゃないかな、なんて思うんですよね。
- ウ:
- あー、なるほど。
- 辻:
- で、僕達が一番整備して欲しいところって、そういうところ、なんですよね。なので、やはりまあ、これからも1位になった自治体様でも気を抜くことなく頑張っていただきたいな、と。
- ウ:
- 電子自治体とかっていうと、よくあるのは申請用紙のダウンロード、PDFがダウンロードできるっていう。
- 辻:
- それだと、ですね、ダウンロードしたPDFを印刷して、ですね、自分で書き込んで役所に持って行きなさいよ、っていうことらしいんですけど、
- ウ:
- (笑)。うーん。
- 辻:
- それだとちょっと、僕達の求めているものと違うんですよね。
- ウ:
- あとなんかこう、自治体が導入しているシステムっていうか、JAVAアプレットを使っているとかってよく聞きますけどね、JAVAアプレットってあんまり、
- 辻:
- うーん、僕は、少なくとも、僕はうまく使えた試しが今のところはないですね。
- ウ:
- うーん・・・なんかそういうところが、こそが大事なんだよね。これからその、自治体のホームページ、Webページも大事ですけど、電子申請とか、そっちの方のシステムも是非アクセシブルにしていってほしいなと思いますね。で、毎年企業のランキング調査ってやつもいろんなところでやっていて、毎年春先ぐらいに発表されるやつが、今年はなぜか発表されていないんですけど、またね、このPodcastをやっている間にもし発表されれば、是非その話題なんかも、
- 辻:
- 追いかけていきたいですね。
- 二人:
- はい。
- 辻:
- ということで、今週はアクセシビリティ関連のヘッドラインをお送りいたしました。次回はスクリーン・リーダーの便利な使い方についてのTIPSをご紹介していきたいと思うんですが、まずなんといってもスクリーン・リーダーでたくさんの方が利用されているPC-Talkerについてお伝えしていきたいと思います。
- ウ:
- はい、というわけでございまして、えー、第1回目ですね、記念すべきアクセシビリティPodcast、ミツエーリンクスさんのスタジオからお届けしておりますけれども、1回目はこのへんで終了、ということで、また次回みなさん是非聞いてください。
- 二人:
- アディオス、アミーゴ!
コメント
今日、このブログを見つける事が出来て大変嬉しく思っております。アクセシビリティポットキャスト第1回前半・後半とも聞かせていただきました。
最新の情報が得れて非常に為になりました。
私は、アクセシィビリティについて基礎から勉強しなおしているところなので、こちらのブログを読んで色々と勉強させていただきたいと思っております。
これからもアクセシィビリティについての色んな情報提供よろしくお願いします。
みるく様
コメントありがとうございます。
アクセシビリティPodcastをお楽しみいただけたとのこと、大変うれしくコメントを拝見(拝聴?)させていただきました。
これからも、皆様にアクセシビリティをもっと身近に感じていただけるよう、情報発信していきたいと思います。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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