われわれのVistaへの移行準備は大丈夫?
Microsoftの新しいオペレーティング・システム、Windows Vistaが発売されてから1ヶ月ほどが過ぎました。国内でも、いくつかの支援技術メーカーが、Vista上で動作する製品を発表しております。特徴としまして、Vistaが発表されてからあまりタイムラグなく対応する製品が発売されております。国内の支援技術のVistaへの対応状況につきましては、メーカーのWebサイトなどで詳しく紹介されておりますので、少し古い情報になりますが、American Foundation for the Blindのニュースレター、AccessWorldの記事の翻訳をとおして海外の支援技術のVista対応状況についてお伝えします。
われわれのVistaへの移行準備は大丈夫?
Jay Leventhal著
(この記事は、American Foundation for the Blind発行のAccessWorldの記事、Are We Ready for Vista? - AccessWorld® - March 2007を翻訳したものです。当Blogは翻訳の正確性を保証いたしませんので、必要に応じ原文を参照ください。)
2007年1月30日、Microsoftは大騒ぎのうちに同社のWindowsオペレーティングシステムの新バージョン、Vistaを発売しました。AccessWorldの読者の中には、この長い間発売が望まれていたオペレーティングシステムを、スクリーン・リーダーを使っている利用者が利用できるようになるまで、いったいどれほど待たされるだろうと心配されている方もいらっしゃるかもしれません。幸いなことに、ほとんどのスクリーン・リーダー利用者の皆様は、今回はそれほど待たなくても良いようです。
さまざまなVistaのバージョン
PC Worldマガジンによりますと、DellとGatewayは1月30日からVistaを搭載したコンピュータの販売を開始しました。その他のメーカーでは、Windows XP搭載のコンピュータの在庫がなくなるまで販売を続けるようです。Vistaには5個のバージョンがあります。MicrosoftのWebサイトによりますと、以下のような種類になります。
- Vista Ultimate: ビジネスやエンターテインメントで必要とされる、安全性やパワー、モバイル機能といった、必要とされるすべての機能を網羅したコンプリートエディション
- Home Premium: 家庭用デスクトップとモバイルPCに適したエディション
- Home Basic: 家庭で必要な電子メールやインターネット、写真の閲覧などの基本機能を持ったエディション
- Business: 小規模ビジネスに必要な機能を網羅したエディション
- Enterprise: 複雑なIT インフラストラクチャを保有する大規模組織に必要な機能を網羅したエディション
MicrosoftがWindows XPを2001年10月にリリースしてから、それに対応したスクリーン・リーダーや画面拡大ソフトが登場するまでは数ヶ月もの期間が必要でした。しかし今回は、MicrosoftがVistaをリリースするのと同時に、いくつかのメーカーが商品のベータテストを開始しています。この記事では、Vista対応のスクリーン・リーダーや画面拡大ソフトがいつごろ利用可能になるかの情報を紹介します。
FreedomBox
さる1月11日、Serotek CorporationはFreedomBoxとKey to Freedom with System Access softwareがWindows Vista上で動作可能になり、ダウンロード可能になったと発表しました。既存のFreedomBoxの利用者やVistaの利用者は同社のWebサイト、www.freedombox.infoからソフトウェアをダウンロードできます。
Window-Eyes
GW Micro社は1月30日にWindow-Eyes 6.1のベータ版をリリースしました。このベータ版はVista上で動作し、Vistaの利用者であれば現在Window-Eyesのユーザーであるかどうかに関係なく、デモ版として使用することができます。製品版のリリース日はベータテストがどれくらい早く終了するかによって変更になるとのこと。GW Micro社のDoug Geoffray氏は「私たちが抱えている最大の問題は、どれくらいのVista利用者がWindow-Eyesの動作をテストしてくれるかということです。」と述べています。他社でもGW Micro社と同様に、動作テストをしてくれる利用者がなかなかみつからないという問題を抱えているようです。
Window-Eyes 6.0のユーザーは、6.1へのアップグレード版を無料で入手できます。GW Micro社は同社のWebサイトでダウンロード可能なアップグレードファイルを提供する予定です。Window-Eyes 6.1はWindows2000やXP上でも動作可能です。ただし、もしVistaを使用したい場合は、同社から送られてくる製品版6.1のCDが必要となります。また、アップグレードにかかる費用は5ドルくらいになる見通しです。
Doug Geoffray氏は「Vistaへの対応は新たな挑戦でしたが、最終的に私たちはXPのときよりも高い利便性を利用者に提供できると信じています。Vistaでは、情報へのアクセスのしやすさが改善されています。Vistaに搭載された新機能「Ease of Access」では、セキュアなWebページの読み込みや、承認を求めるダイアログボックスのようなセキュアなデスクトップ上にある情報の読み上げにおけるサポートが向上しています。」と述べています。
さらにDoug氏は「MicrosoftはVistaとともに出荷される予定のアプリケーションについて、MSAA(Microsoft Active Accessibility)によるアクセシビリティ面でのサポートの強化を続けています。Vistaを導入することによる最大の利点は、新開発のセキュリティレベルではないでしょうか。私たちは今後もMicrosoftと共同で開発作業を続けることで、今以上にVistaのアクセシビリティレベルを高めていきたいと思います。」とも述べました。
JAWS for Windows
Freedom Scientific社は、2月中旬にVista上で動作可能なバージョンのJAWSをリリースする予定です。このアップデートは、Windows XPやWindows2000上で動作可能なJAWS8.0のユーザーにも利用可能です。これは、JAWS8をWindows XPや2000上で利用し続けようと考えているユーザーにも無料で提供されます。
既存のJAWS8のユーザーでこれからVistaを購入しようと考えている方すべてに、Freedom Scientific社ではJAWS software maintenance agreement (SMA)への参加を呼びかけています。ご使用中のJAWSのライセンスが、Vista版でも利用可能かを確認するためで、VistaにJAWSをインストールすることによってSMAの権利を失うことはないとしています。
ZoomText
Ai Squared社は2月の第2週にZoomText 9.1のベータ版をリリースする予定です。その後、3月下旬から4月上旬の間に製品版をリリースすることを目標としています。
ZoomText 9.1は、ZoomText 9.0を購入されたユーザーを対象としたマイナーアップグレードとして提供されます。9.0ユーザーへのZoomText Magnifierのアップグレード提供価格は75ドルになる見込みです。また、ZoomText Magnifier/Readerのアップグレード価格は99ドルになる予定です。ZoomText 8.1とそれ以前のバージョンの利用者は、ZoomText Magnifier製品版に149ドルで、ZoomText Magnifier/Reader製品版に199ドルでアップグレードできます。
Hal and Supernova
Dolphin Computer Access社では、現在のところVista上で動作可能なHal and Supernovaを2007年の第2四半期までにリリースしたいとしております。
このバージョン8.0は、2007年1月31日以降にバージョン7.0を購入された方なら無料でアップグレードできます。Halの利用者は、Windows XP版のHalと似たような操作でVista版のHalを利用できるようになる見通しです。
支援技術メーカーは、それぞれの製品をVista上で動作させるために多大な努力を通して開発を行ってきました。その結果、Vistaがリリースされたと同時にお使いの製品が利用できるようになるという情報をは、読者の皆様にとって大いに励みになることでしょう。これは、Windows XPがリリースされてから支援技術が対応するまでにかかった時間のことを考えると、素晴らしい変化といえます。Windows95がリリースされた際の支援技術利用者の戦いは、改めてここで申すまでもありません。
AccessWorldでは、今後もVistaに関連する話題を取り上げていく予定です。
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