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WAI-ARIA 1.1の最初の草案 & WAI-ARIA 1.0勧告時期の目安

2013年10月4日
アクセシビリティ・エンジニア 黒澤

去る9月26日、W3CWAIWAI-ARIA 1.1の最初の草案を公開しました。またWAI-ARIA 1.1の草案公開に合わせて、WAI-ARIA FAQも一部更新され、WAI-ARIA 1.0勧告時期の目安が公開されました。

WAI-ARIA 1.1の最初の草案

WAI-ARIA 1.1は、WAI-ARIA 1.0に対して、HTML 5.1を補完するいくつかの機能を追加したものとなる予定です。今回公開された草案ではaria-describedatプロパティが追加されています。このプロパティはHTMLのlongdesc属性に相当するものです。

aria-describedatプロパティはオブジェクト(画像など)を説明するURIを指定します。WAI-ARIA 1.0にもaria-describedbyプロパティという類似のプロパティが定義されていますが、このプロパティとの違いは何でしょうか。

aria-describedbyプロパティはオブジェクトを説明する要素のIDを(複数)指定しますが、aria-describedbyプロパティではオブジェクトを説明するURIを指定します。aria-describedbyプロパティで参照する要素は、同じ文書の中に存在する必要がありましたが、aria-describedatプロパティは別の文書を参照することも可能になります。これにより、良く知られた絵画の説明として、絵画を説明している既存のページのURIを指定する、といった使い方が考えられているようです。

また、aria-describedbyで指定した説明(description)は、アクセシビリティAPIによっては、参照した要素から算出された文字列(テキスト等価物)としてのみ支援技術に伝えられることがありますWAI-ARIA 1.0 User Agent Implementation GuideState and Property Mapping TableDescription Computationを参照)。このため、支援技術が使っているアクセシビリティAPIや支援技術そのものの実装によっては、オブジェクトの説明として表を指定したとしても、支援技術の利用者が得られるのは表から算出されたテキストだけで、表そのものではない、ということが起こります(例えば、スクリーン・リーダーによっては表から算出された長いテキストが読み上げられるのみで、表のセルを移動しながら内容を確認することはできない、など)。aria-describedbyのこの特徴は過去にも話題になっており、例えばTed Drek氏は1月に公開したConnect with aria-describedbyという記事でaria-describedbyのメリット、デメリットを取り上げています。

一方のaria-describedatプロパティは仕様の段階で、ユーザーエージェントは参照しているコンテンツに移動できるようにすべき、とされています。そのため、aria-describedatプロパティが参照している説明の構造や意味を、ユーザーは操作しながら理解できるようになることが期待されます。

なお、今回公開された草案に対するコメントは11月1日までにメールでpublic-pfwg-comments@w3.orgに送ってほしいとのことです。

WAI-ARIA 1.0の勧告時期の目安

WAI-ARIA 1.1の草案公開に合わせて、W3C WAIはWAI-ARIA FAQを一部更新しました。それによるとWAI-ARIA 1.0は現在、勧告候補(Candidate Recommendation)です(最新のものは2011年1月18日の勧告候補)が、2014年の早い段階で勧告案(Proposed Recommendation)に進み、2014年内には勧告となることが検討されています。

今後WAI-ARIAからはますます目が離せなくなりそうです。

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