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【iPhone使用レポート8】 カメラを使って視覚障害者の生活を便利にするアプリケーション

2011年6月2日
アクセシビリティ・エンジニア 辻

当Blogでは、不定期にiPhone 3GS使用レポートとして、iOS上の読み上げ機能、VoiceOverを用いてiPhone 3GSを使用した感想などをお伝えしてきました。本エントリーでは、iPhoneのカメラを用いて視覚障害者の生活を便利にしてくれる可能性のあるアプリケーションをご紹介します。
なお、私のiPhone 3GSが壊れてしまい、現在私はiPhone 4を使用していることから、タイトルをiPhone使用レポートに変更いたしました。

米ドル紙幣を素早く識別できるLookTel Money Reader

ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、アメリカで使用されているドル紙幣は、長さや幅がすべて同じです。したがって、特に全盲の視覚障害者は、どれが1ドル紙幣なのか、100ドル紙幣なのかといった情報を簡単に知ることができません。私が留学していたころは、信頼できる周囲の人たちの力を借りて、あらかじめ種類別に紙幣を分けておき、それぞれを財布の違うポケットに入れて携帯したり、折り方を変えることで使い分けていました。

LookTel Money Readerは上記のような問題を解決できるiOS向けのアプリケーションで、iTunes App StoreのLookTel Money Readerのページで購入することができます。

現在、LookTel Money Readerでは、以下の米ドル紙幣を識別し、デモのように素早く結果を音声で案内します。

実際に数枚の米ドル紙幣を使って、このアプリケーションで識別が可能かを試してみましたが、iPhoneのカメラで紙幣の一部を写すことができれば、瞬時に音声で結果を案内してくれるところが素晴らしいと感じました。日本の紙幣には、手で触って違いを識別できるようなマークがついていますが、決して分かりやすいものではありません。将来このアプリケーションが、米ドル紙幣以外の他の国の紙幣にも対応してくれると便利だと思いました。

iPhoneで撮影した物の名称を調べられるサービスVizWiz

全盲である私の日常生活の中でもよく遭遇する問題が、すぐそばにある物体の名称がわからないことです。例えば、冷蔵庫に入っている似たような形状のボトルの中身を今すぐ調べたいとか、外出前に自分の服の上下の色が間違っていないかを知りたいといったようなニーズはよくあります。ニューヨークにあるRochester大学の研究チームによって開発されたVizWiz Socialは、iPhoneで撮影した写真を使ってこのようなニーズに対応するための視覚障害者向けのサービスです。

まず、サービスの利用者はiTunes App StoreのVizWizのページより無料のアプリケーションを入手します。3G回線または無線LAN経由でインターネットに接続されていることを確認し、VizWizを起動します。

指示に従って調べたいものをiPhoneのカメラで撮影し、この写真で何を調べたいかを音声(英語)で録音します。写真の共有先を選択して送信して少し待つと、結果がiPhoneにフィードバックされます。

もちろん、不特定の方々が撮影した画像を確認してフィードバックしてくださるサービスなので、写真を撮影する際は注意する必要があるとは思いますが、急いで調べたいものがあるときで、近くにそれを手伝ってくださる方がいないような場合に、このVizWizが役立つのではないかと感じました。

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