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【iPhone 3GS使用レポート6】 今後の改良に期待すること

2010年1月12日
アクセシビリティ・エンジニア 辻

これまで5回に渡ってお伝えしてきたiPhone 3GS使用レポートでは、主にiPhone 3GSの優れている点を中心に書いてきました。しかしながら、今日普及している読み上げ機能付携帯電話と比較して、iPhoneには今後の改良に期待したい機能があるのも事実です。

連載の最後となる今回は、特に日本語環境でiPhoneを利用するVoiceOver利用者として、今後iPhoneで改良していただきたい事柄について書いてみたいと思います。

日本語入力環境の充実

昨年末に行ったセミナー、ユニバーサロン・アクセシビリティセミナー『iPhoneで広がるウェブの可能性』の中でも話題になりましたが、現在のiPhoneでは日本語を入力する際、複数ある漢字の変換候補を識別することができません。例えば、「飴が振ってきた」という文章を書いてしまう可能性があります。

予測変換の機能を活用すれば、ある程度正しい漢字を使って文章を書くことはできますが、正確な日本語の文章を書くためには、漢字の変換候補を識別できるような機能が必要です。

また、VoiceOverの利用者は、ローマ字入力でなければ日本語を入力しづらいのが現状です。例えば「つじ」と入力する場合は、「t s u j i」とアルファベットで入力する必要があります。このとき音声では、入力されたアルファベットを1文字ずつ「ティー エス ユー ジェー アイ」と読み上げます。
もちろんこの方法でも入力はできますが、かな文字を直接入力することができれば、より少ない文字入力で、効率よく文章を書くことができるかと思います。現在、かな文字を入力できるキーボードは、押した文字に対して適切な音声の読み上げが行われないため、筆者はVoiceOverを使って利用することができません。

日本語読み上げ環境の改良

前述のセミナーの中でも少し触れましたが、iPhone 3GSの日本語読み上げでは、音声のスピードを早くすると、情報を読み飛ばしてしまう場合があります。筆者は特に、Webコンテンツなどの長い文章を読んでいるときにこの現象に遭遇します。

iPhoneを使ってWebコンテンツや長い文章を閲覧する利用者も少なくはないと考えられることから、より効率よく情報を得られるよう、読み上げ機能の今後の改良に期待したいと思います。

VoiceOverの機能強化

iPhone 3GS向けのアプリケーションを使用していると、全く利用できなくはないものの、一部のボタンの名称がわからないようなケースに遭遇することがあります。そのような場合であっても、「ボタン」としか読まれないボタンの順番を覚えることで、そのアプリケーションが利用できることも少なくはありません。

そこで、利用者がラベルのついていない(あるいは正しい名称がつけられていない)ボタンに、自身でラベルを設定できるような機能があると便利だと思います。iPhone用のアプリケーション開発者がよりアクセシブルなアプリケーションを開発することと、利用者自身が、使いたいアプリケーションを自らアクセシブルにしていけるような機能があれば、VoiceOver使用者が活用できるアプリケーションが増えていくのではないかと思います。

これまで、iPhone 3GSの使用レポートや、毎日新聞ユニバーサロンのインタビュー、またiPhoneをVoiceOverを用いて操作するデモンストレーションを中心としたセミナーを通して、iPhone 3GSを視覚障害者の立場で利用した感想などをお伝えしてきましたが、今後も新たな機能の追加や改良が行われた際は、このBlog上で情報をお伝えしていきたいと思います。また、iPhone以外の携帯端末のアクセシビリティ機能についても情報を発信したいと考えております。引き続きご期待ください。

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コメント

以前より購入しようか迷っていましたが、これまでの記事を読んで自分も購入に踏み切りました。
文字入力は快適ではありませんが操作には慣れましたよ。
記載のとおりの問題はあるもののいろいろいじっていると楽しいですね。
有料アプリを試すのはギャンブルですけどw

Posted by: エイブ : 2010年2月 5日 14:52

エイブ様

コメントをいただきましてありがとうございます。
iPhoneを購入されたとのこと、このiPhone 3GS使用レポートがお役に立てたことを大変うれしく思います。

今後も、VoiceOverによる読み上げ機能が強化された場合など、またレポートしていきたいと思います。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。


Posted by: アクセシビリティ・エンジニア 辻 : 2010年2月 5日 15:23

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