Webサイトのアクセシビリティを高めるための方法や国内外の関連情報など、さまざまな角度からWebアクセシビリティに関する話題をご提供していきたいと思います。
2008年11月28日
特別企画「オープンソースソフトウェアとWebアクセシビリティ」
アクセシビリティ・エンジニア 中村
直前のご案内となってしまいましたが、12月3日(水)、4日(木)に開催される第45回 福祉情報工学研究会におきまして、ITRC・UAI分科会と電子情報通信学会の福祉情報工学研究会(WIT)共催の特別企画が開催されます。
この特別企画では、テーマを「オープンソースソフトウェアとWebアクセシビリティ」としまして、以下の3つのオープンソースソフトウェアの実演、紹介とパネルディスカッションが予定されております。
- スクリーン・リーダー NVDA日本語化プロジェクト
- 音声対話ツールキット Galatea プロジェクト
- アクセシビリティソフトウェア基盤 Eclipse Accessibility Tools Framework (ACTF)
この中で、NVDA日本語化プロジェクトにつきましては、当Blogでも既に何度か取り上げておりますが、弊社辻が現在中心として活動していることもあり、辻と中村の2名でご紹介させていただくことになっております。
その他詳細につきましては、研究会のWebサイト、2日目のプログラムの特別企画をご確認ください。なお、この企画を含めまして、本研究会は参加自由、また聴講のみであれば無料(資料は有料)ということですので、企画の概要にもありますように、「支援技術ユーザ、研究者、ソフトウェア開発者など幅広い聴衆」の方々にお集まりいただければと思っております。
また、WITでは今回だけではなく、学会会員に限らず、参加自由、聴講は無料(予稿集は有料)で研究会を開催されているとのことですので、興味をお持ちの方は是非参加してみてはいかがでしょうか。
みなさまと会場でお会いできることを楽しみにいたしております。
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2008年11月21日
支援技術別動作検証報告: 複雑な画像への代替テキストの提案
アクセシビリティ・エンジニア 中村
Webサイトのアクセシビリティのチェックを行っているとバランスの悪い代替テキストに出会うことがあります。 例えば、複雑なフロー図に「フロー」という代替テキストのみが記述されているようなケースです。もしその画像以外にフローに関する説明がない場合、「フロー」という文言からだけでは、フローの具体的な内容を理解することは出来ません。本来であれば、alt属性にはフロー図に書かれた内容を記述する必要があるでしょう。
一方、画像に含まれる情報をすべて記載しているにもかかわらず、理解しにくい代替テキストとなるケースも存在します。グラフに対する代替テキストを例に見てみましょう。下記は画像上の情報をすべてalt属性に記述したケースです。

音声読み上げ環境では、alt属性に設定されたテキストは、1行に羅列された状態で読み上げられます。次々読み上げられる情報を頭で記憶しながら聞かねばならないため、代替テキストが長くなればなるほど情報の理解は困難になり、ユーザーに負担がかかることが予想されます。
では、負担を軽減するにはどのようにすれば良いのでしょうか。実際にいくつか例を作成し、音声読み上げ環境で確認を行ってみました。その結果、解決策としては次のいずれかの方法が有効に思われます。(作成例と確認結果はこのブログのエントリーの「全文を読む」のリンクよりご覧いただけます)
- 画像の重要な点をテキストで説明する
- 表を併記する
- 画像をスライスし、個別にalt属性値を設定
- これらを組み合わせる
いずれの方法も万能ではなく、欠点を持ち合わせています。どの方法が正解というわけではありません。しかし詳細情報の提供が必要な画像では、どのような情報を、どのように提供するかを検討し、選択することで、より適切でバランスの良い代替情報を提供することが可能になるのではないでしょうか。
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2008年11月13日
JAWS for Windows Version 10リリース
アクセシビリティ・エンジニア 辻
去る11月3日、スクリーン・リーダーのひとつであるJAWSの最新版、Version 10がリリースされました。近年、ほぼ1年ごとに新しいバージョンをリリースしているFreedom Scientific社のJAWSですが、今回はどのような新機能が加わったのでしょうか。What's New in JAWS 10の中から、筆者が注目した機能について簡単にご紹介します。
遠隔地からサポートができるJAWS Tandem
今回リリースされたJAWSの特徴の中で、JAWSの利用を始めたばかりの人たちにとって有益だと思われる機能が、JAWS Tandemです。この機能により、サポートを行う人がユーザーのコンピュータにインストールされたJAWSを遠隔地から操作できるようになります。筆者はまだ、この機能を実際に試してみたことはありませんが、Freedom Scientific社のPodcastであるFSCastのSeptember 2008 FSCastでは、Tandem機能で遠隔地のコンピュータ上のJAWSを操作する様子が、実際の音声を交えて紹介されています。
JAWSに不慣れな利用者にとっては操作が難しい機能も少なくはないため、サポート担当者の遠隔地からの指導や設定などに役立つのではないかと期待される機能です。
Auto Forms Mode
これまでJAWSではWebコンテンツやPDFドキュメント内のフォームを操作する際、Enterキーなどを使用してフォームモードに入らなければなりませんでした。例えばGoogleで文字列を検索する場合は、エディットボックスをみつけた後にEnterキーを押さなければ、文字列の入力ができませんでした。
JAWS 10に追加されたAuto Forms Modeは、このフォームモードのOnとOffの機能を自動的に切り替えるもので、これによりフォーム内で作業するためにEnterキーを押すような作業の必要がなくなります。
ただ、長年手動でJAWSのフォームモードを切り替えてきた筆者にとっては、この機能に慣れるまでに少し時間がかかってしまいそうだなと感じました。
ARIA Live Region とARIA Landmark のサポート
アクセシビリティPodcastでも何度か取り上げているWAI-ARIAの中で、Live RegionsとLandmarkの読み上げサポートが行われるようになりました。この機能はFirefox 3や今後リリース予定のInternet Explorer 8で読み上げが可能で、対応したコンテンツにJAWS 10でアクセスすることで読み上げられるそうです。
このほかにも、9月にリリースされたiTunes 8の読み上げ対応など、興味深い更新が行われているようです。JAWSをはじめとしたスクリーン・リーダーのARIA対応にも期待したいと思います。
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2008年11月04日
WCAG 2.0 Proposed Recommendation
アクセシビリティ・エンジニア 中村
当Blog、アクセシビリティPodcastなどでも何度も取り上げていますとおり、Web Content Accessibility Guidelines(WCAG) 2.0は今年中にW3C Recommendation(勧告)となるべく、急ピッチで作業が進められています。そのWCAGが11月3日付で勧告のひとつ前の段階である、Proposed Recommendation(PR:勧告案)となりました。
また、以下の関連文書のWorking Draft(草案)があわせてアップデートされています。
PRとなるにあたっては、ガイドラインが実装可能であることの確認がポイントであり、当Blogのエントリー、WCAG 2.0 Candidate Recommendationでお伝えしたとおり、一定数以上のガイドラインに適合したサイトが必要でした。その実装結果については、WCAG 2.0 Implementation Reportに詳細がまとめられておりますので、興味のある方はレポートをご覧ください。
また、今回の実装テストには当社からも当Blogを含む2つのサイトで参加しておりますので、日本語サイトでの具体例として参考になればと思っております。
なお、内容については、前述の通り実装の確認が中心であったため、それほど大きな変更点は多くありません。CRからの変更点については、Changes to WCAG 2.0 since CRにまとめられています。
数年にわたって勧告への作業が進められてきたWCAG 2.0ですが、ついにその一歩手前まで来ました。このPRのレビュー期間は最短で4週間ですので、順調に進めば年内に勧告となることでしょう。今後WCAG 2.0に対応したサイト作りの重要性が高くなってくることは間違いありません。当Blogでは、今後もしっかりと動向を追いかけていきたいと思います。
