Webサイトのアクセシビリティを高めるための方法や国内外の関連情報など、さまざまな角度からWebアクセシビリティに関する話題をご提供していきたいと思います。
2007年02月16日
オープンソースのスクリーン・リーダーNonVisual Desktop Access (NVDA)
アクセシビリティ・エンジニア 辻
現在利用可能なスクリーン・リーダーの多くは決して安価なソフトウェアではありません。利用者は、必要に応じて自身が使いやすいものを購入しなければならないのが現状です。今回のエントリーでは、日本語版ではありませんがオープンソースで無料のスクリーン・リーダー、NonVisual Desktop Access (NVDA)をご紹介します。
NVDAの開発コンセプト
NVDAは、2006年4月よりMichael Curran氏を中心とした多くの人々の手によって開発が続けられているWindows用のスクリーン・リーダーです。公式サイトの情報によりますと、このスクリーン・リーダーの開発の目的は、スクリーン・リーダーを必要とする視覚障害者のユーザーが、コンピュータとOS以外に出費をしなくとも利用できるスクリーン・リーダーを開発することだと述べられております。今日では、利用者が必要とする作業の多くを音声でガイドできるようになり、開発者のMichael氏自身は他の商用スクリーン・リーダーを使用しなくとも日常の作業はNVDAだけで行えるようになったとのことです。
NVDAで現在できること
NVDAでは、現在以下のようなWindows上のアプリケーションの操作ができます。
- Internet ExplorerやFirefoxによるWebサイトの閲覧
- ワードパッドやMicrosoft Wordによるドキュメントの読み書き
- Outlook Expressによる電子メールの送受信
- コマンドプロンプト上でのプログラムの実行
- Microsoft Excelによる基本的な表作成
- マイコンピュータやエクスプローラを使った一般的なファイル操作
Web制作者として注目すべき機能
NVDAは無料のスクリーン・リーダーでオープンソースであるという点は、今後の各国語版の開発という面でも期待されている部分です。さらに、Web制作者として注目していきたい点は、このNVDAが見出しやリストなどの文書構造を認識して読み上げを行うことのできるスクリーン・リーダーであるというところです。確認いたしましたところ、JAWSのように、Hキーを押すことで次の見出しに、Lキーを押すことで次のリストに移動ができました。さらに、ページ内のフォームやテーブルに移動する機能もあります。
現在NVDAは英語のほか、ポルトガル語とフィンランド語に対応しています。オープンソースであることから今後日本語版を含む各国語版の開発が期待されます。Webアクセシビリティを特別な配慮で補うのではなく、標準的な技術を用いて制作されたコンテンツを利用者側で目的に応じて読み進めていくことのできるスクリーン・リーダーとして、今後も注目していきたいと思っております。