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Webサイトのアクセシビリティを高めるための方法や国内外の関連情報など、さまざまな角度からWebアクセシビリティに関する話題をご提供していきたいと思います。

2006年10月20日

Microsoft Windows Internet Explorer 7とWebアクセシビリティ

アクセシビリティ・エンジニア 中村

既に弊社Web標準Blogのエントリー(IE7の正式版がリリース)など各所で紹介されておりますが、Internet Explorer 7(以下、IE7)が正式にリリースされました(ただし、現時点では英語版のみ)。

現時点において、Webブラウザのシェア80%強とされているWindows版Internet Explorer(以下、IE)の最新版ということもあり、ベータ版やRelease Candidate(RC)版の段階からさまざまなテストをなされている方も多いとは思いますが、Webアクセシビリティの側面からIE7の普及がもたらす変化の可能性について考えてみます。

タブブラウザ

IE7におけるそれ以前のバージョンと大きな違いのひとつはタブを使ったブラウジングが可能になった、ということでしょう。もちろん、Mozilla FirefoxやOperaといったWebブラウザを既に利用されている方々にとっては、目新しい機能ではありませんが、IEのみを利用している方にとっては大きな変化になるものと思われます。例えば、JIS X 8341-3:2004 「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス- 第3部:ウェブコンテンツ」の5.3 e) には以下のような記述があります。

利用者の意思に反して,又は利用者が認識若しくは予期することが困難な形で,ページの全部若しくは一部を自動的に更新したり,別のページに移動したり,又は新しいページを開いたりしてはならない。

当該項目に対応する為(それだけではないと思いますが)、「新しいウインドウが開きます」などという記述がなされているリンクがありますが、今後IE7が普及した際にはブラウザ側の設定によっては新しい「タブ」が開く、などということも多くなるでしょう。タブブラウザの利用者にとっては(IE7のリリースとは関係なく)、以前よりこのような事態は発生しているわけですが、影響を受ける人数が多くなることにより、前述のような表記はもとより「新しいウインドウ」で開かなければならない、といった認識にも変化が出てくれば、という期待もあります。

ページズーム

WebアクセシビリティとIE7との関係で最も大きな変化のひとつといえば、このページズームの機能ではないかと思います。従来のIEでは文字サイズの変化だけ、かつ最小から最大までの5段階でしか変更できなかった(もっとも、文字サイズのみの変化についてはIE7でも5段階)わけですが、IE7では画像やFlashコンテンツなども含めたページ全体の縮小・拡大ができるようになっています。弱視、老眼の方はもちろんのこと、多くのユーザーがこの機能による恩恵を受けることができるのではないでしょうか。

CSSサポートの改善

Cascading Style Sheet Compatibility in Internet Explorer 7(英語)などにもあるように、IE7ではさまざまな面において、CSSサポートが改善されています。このこと自体は当然のことながら、アクセシビリティの面からも喜ばしいことであると思います。しかしながら、短期的にはアクセシビリティにおける問題となりうる可能性もある、ということを忘れてはならないでしょう。はじめに述べましたとおり、現時点ではIEのシェアは他を圧倒しています。その為、IEにおける見た目を重視しているサイト、というものが少なくないというのが現実です。それらのサイトがIE7でアクセスした際に理解できないくらいにレイアウトが崩れる、ということになれば、これはある意味アクセシビリティの問題といえるのではないでしょうか。
無論、本来であればそうならないように制作されているべきなのですが、現実的にはそうなっていない、という場合が多いでしょう。したがって、Web制作者やサイト管理者は今すぐにでも対策を考える必要があると思われます。

以上、簡単に3つのポイントに注目してまとめてみました。
それ以外にも、内容面以外における今回のバージョンアップでの最大の注目点として、ソフトウェアの配布が、従来とは違い自動更新を利用しておこなわれる事、があります。その際には、現在IE6を利用しているユーザーの多くが自動更新によってIE7を利用し始めることになります。

今の段階では、アクセシビリティの面からは劇的な変化がおきないものとは思われますが、支援技術における対応状況なども含めて、今後も注意深く動向を見守り、また研究・報告などをおこなっていきたいと思います。

参考:Webブラウザのシェアに関する統計について参照したページ

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