Webサイトのアクセシビリティを高めるための方法や国内外の関連情報など、さまざまな角度からWebアクセシビリティに関する話題をご提供していきたいと思います。
2006年09月20日
最低限のアクセシビリティ対応
アクセシビリティ・エンジニア 辻
皆さんは、アクセシビリティ対応を行われる際、どんなことに注意されていますか?
上記の事柄ももちろん重要なアクセシビリティ対応の要素ですが、もっと簡単に対応できることがあります。それは、Webページ内の誤字や誤記を無くすことです。
一見、当たり前のようなことなのですが、実は誤字や誤記のあるWebサイトは、思いのほか多いのが現状です。
Webページ全体を画面で閲覧するときには、文章以外の要素(例えば画像など)のインパクトが強いため、あまり気にならないかもしれませんが、主としてページ内に書かれた文字情報を読み上げる音声ブラウザやスクリーン・リーダーのようなユーザーエージェントでは、誤字や誤記はとても気になる存在です。また、スクリーン・リーダーや音声ブラウザの利用者の中には、私のようにWebサイトの情報から人名や地名の漢字や英語のスペルを学習している利用者もいますので、誤字を正しいものと勘違いして覚えてしまう可能性もあります。
それでは、実際にどのような誤字や誤記が音声読み上げ環境のユーザーにとって困る存在なのでしょうか。
「データベース」は、でーたべーすと読み上げられます。
「デ-タベ-ス」は、でまいなすたべまいなすすと読み上げられます。
一見同じように画面には表示される 上記の単語ですが、長音記号とマイナス記号を誤って使用することで、音声読み上げ環境のユーザーには違和感のある音声になってしまうのです。
上記は誤記の一例ですが、私は全盲のユーザーの立場で、Webサイトで情報を発信される皆様に、ご自身のWebサイトの誤字や誤記について十分にチェックしていただきたいと思います。Webアクセシビリティといえば特別な配慮が必要だと考えられがちですが、Webサイトの情報の品質が高まることは、そのサイトがアクセシブルになるための最初のステップではないでしょうか。
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2006年09月08日
NFB 対 Target社訴訟の判決
アクセシビリティ・エンジニア 中村
今年2月14日付けのエントリーでお伝えいたしました、the National Federation of the Blind(NFB)がTarget社のWebサイトTarget.comを相手として起こした訴訟の判決が、アメリカ時間の9月6日水曜日に下されました。訴訟の内容につきましては、前述のエントリーをご覧いただくことにしまして、結果を述べてしまうことにいたしましょう。
複数の米国発のニュースソースによりますと、連邦地方裁判所の判事はWebサイトが視覚障害者にとってアクセシブル(利用可能)でない場合、小売業者は法に訴えられる可能性がある、という裁定を下しました。Target社はこの裁判の中で、自らのWebサイトをアクセシブルにすることを要求する法律はない、として棄却を求めていましたが、裁判所はこれを認めず、連邦および州の公民権法がTarget.comのようなWebサイトにも適用される、との判断を下したのです。
さて、気になるのはこの判決の与える影響、ということになりますが、Equal Justice Worksの会員であるMazen M. Basrawi氏は「裁判所は、インターネットを物理的な場所で提供するサービスを高める手段として使うときに、どんな公共施設も差別しないことを保証しなければならない、と法律が要求することを明確にした」点に注目しているとのことです。
これはすなわち、例えば車椅子で来店しても買い物ができる等、今まで物理的な店舗などに対して適用されてきた法律が、インターネット上の店舗などのサービスにも適用されていくことになる、という可能性を示唆しているのでしょう。
今回のTarget.comに関しては、原告側が指摘しているとおり、少なくとも訴訟が行われた時点においては、最低限のアクセシビリティも確保されていなかったわけですが、今後果たして何が基準となっていくのか、どのレベルまでが許容されるのか、そして日本へはどのような影響を与えていくのか、今後も米国での動きに注目していきたいと思います。
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2006年09月05日
アックゼロヨン2006セミナー Vol.5
アクセシビリティ・エンジニア 中村
弊社も協賛いたしております「日本のWebサイトをアクセシブルかつクリエイティブにしよう!」をスローガンとして、アクセシビリティとクリエイティビティを考えるフォーラム、アックゼロヨン、2006年度5回目のセミナーの開催が発表されました。
今回のテーマは「実装」ということで、フロントエンド技術のテクニックについて、神森 勉氏(アンカーテクノロジー株式会社)と、益子 貴寛氏(サイバーガーデン代表)がそれぞれのテーマで講演を行われます。
『Dreamweaverのスペシャリストである』神森氏は「アクセシビリティ確保のためのDreamweaverテンプレートの活用」というテーマで、一方「Web標準の教科書」の著者である益子氏は、「(X)HTML+CSSの設計」というテーマでの講演を予定されています。
各回同様、今回も事前登録の上、入場は無料となっておりますので、興味のある方はぜひとも参加なされてはいかがでしょうか。なお、詳細につきましては、公式サイト内セミナー2006 Vol.5(9月11日)開催のお知らせでご確認ください。
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2006年09月05日
JAWS 7.10 英語版のテーブル表現方法
アクセシビリティ・エンジニア 辻
音声ブラウザやスクリーン・リーダーを使用していて、よく問題になるのが表の読み上げについてです。私もWebサイトを閲覧中に、この表はどのような順番で書かれているのだろうかと、実際の画面の表示のことが気になることがあります。
以下の表は、JAWS for Windows HeadquartersのTables with JAWSというレッスンページに記載されていたものです。
| 月 | 最高気温 | 最低気温 | 水温 |
|---|---|---|---|
| 1月 | 70度 | 50度 | 64度 |
| 2月 | 71度 | 51度 | 65度 |
| 3月 | 77度 | 58度 | 69度 |
| 4月 | 81度 | 61度 | 73度 |
| 5月 | 88度 | 67度 | 79度 |
| 6月 | 89度 | 71度 | 82度 |
| 7月 | 90度 | 75度 | 84度 |
| 8月 | 90度 | 75度 | 86度 |
| 9月 | 89度 | 73度 | 82度 |
| 10月 | 82度 | 65度 | 78度 |
| 11月 | 78度 | 56度 | 71度 |
| 12月 | 72度 | 50度 | 64度 |
この表を、スクリーン・リーダーで読ませると、次のような順番で読み上げられます。
月
最高気温
最低気温
水温
1月
70度
50度
64度
2月
71度
51度
65度
(中略)
12月
72度
50度
64度
音声ブラウザやスクリーン・リーダーでは、このように表の各セルを縦に並べて表現します。この場合、行の項目数が増えるほど、利用者はどのセルがどの項目に対応しているのかがわかりにくくなってしまいます。もちろん、表を読み上げるためのコマンドを使用すれば、それぞれのセルの位置関係もわかるのですが、JAWS 7.10 英語版にはもっと簡単に画面上に表がどのように表現されているかを知ることのできる読み上げ方法が加わっております。
Document presentationという設定項目があり、上記のように縦にセルを並べて表現するsimple layoutと、表を画面どおりに表現するscreen layoutが選択できます。上記の表を、screen layoutで表現すると次のようになります。
月| 最高気温| 最低気温| 水温|
1月| 70度| 50度| 64度|
2月| 71度| 51度| 65度|
3月| 77度| 58度| 69度|
4月| 81度| 61度| 73度|
5月| 88度| 67度| 79度|
6月| 89度| 71度| 82度|
7月| 90度| 75度| 84度|
8月| 90度| 75度| 86度|
9月| 89度| 73度| 82度|
10月| 82度| 65度| 78度|
11月| 78度| 56度| 71度|
12月| 72度| 50度| 64度|
simple layoutでは、カーソルキーを上下に動かすと1セルを読み上げますが、screen layoutでは1行分の情報を|(縦線)で区切って表現します。
これにより、利用者は画面上の表が、どのように記述されているかをイメージすることができるようになるわけです。また、表の内容をクリップボードにコピーして利用する場合にも、表をそのままの形でコピーすることができるようになります。screen layoutの状態で点字ディスプレイで表を読んだ場合は、画面上の情報により近い状態で表を閲覧することができるようになります。
JAWS 7.10 英語版に搭載されている新しいテーブルの表現方法について書いてきましたが、我が国で利用されているスクリーン・リーダーや音声ブラウザには、まだほとんどテーブルをその画面イメージに近い形で表現できるものがないことから、日本語版JAWSの最新版にも、この機能が実装されることを強く願っております。
