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Android版Firefoxのアクセシビリティ機能

2012年12月13日
アクセシビリティ・エンジニア 黒澤

Androidはスマートフォンやタブレット端末のOSとして急速に普及していますがAndroidのアクセシビリティ機能はまだあまり知られていないようです。このAndroidのアクセシビリティ機能を積極的に活用しているブラウザの一つがAndroid版Firefoxです。この記事は、Android版Firefoxのアクセシビリティ機能を紹介した記事Accessibility features in Firefox on Androidを翻訳したものです。

Android版Firefoxのアクセシビリティ機能

2012年10月11日 Eitan Issacson

(この記事は、Mozilla Hacksに投稿された記事、Accessibility features in Firefox on Androidを翻訳したものです。当Blogは翻訳の正確性を保証しませんので、必要に応じて原文を参照してください。)

(また、原文はEitan Issacsonを原著作者としてCreative Commons Attribution Share-Alike License v3.0かそれ以降のバージョンでライセンスされています。この記事もEitan Issacsonと株式会社ミツエーリンクスを著作者としてCreative Commons Attribution Share-Alike License v3.0の下でライセンスします。)

我々がMozilla Manifestoで掲げた原則の1つはインターネットは「世界的な公共のリソースであり、オープンかつアクセス可能なものであり続けなければなりません」というものです。高額な利用料金や言語、障害といったこれまで参加を妨げてきたバリアを取り除くことが我々のゴールです。

我々は全盲や視覚障害のユーザーを含む地球上の誰に対してもAndroid版Firefoxを提供できるよう取り組んできました。Android版Firefox 15で予備的なスクリーン・リーダーのサポートを開始しました。Firefox 17では我々は原点に立ち帰りJelly Bean(訳注:Android 4.1)の先進的なアクセシビリティ機能をサポートします。これらの素晴らしい機能を今すぐ手に入れるなら、Google PlayストアからAndroid版Firefoxをダウンロードしましょう

アクセシビリティ機能とは何か?

Firefoxは最も広範な人々のニーズに合うように設計されていますが、時にそれは十分ではありません。全盲や視覚障害のユーザーにとっては、タッチ・スクリーンの標準的なグラフィカル・インタフェースは利用しやすいものではありません。スクリーン・リーダーを始めとする支援技術はそのようなギャップを埋めるために存在します。スクリーン・リーダーは音声と聴覚的なフィードバックを提供することでアプリケーションの視覚的な状態を表現します。それらは全盲のユーザーにとってより意味のあるインタラクションモデルを提供するでしょう。例えば、スクリーン上でユーザーが指を移動させるとスクリーン・リーダーが指の下に何があるかを伝えてくれるため、ユーザーはスクリーンに表示されているアイテムを探すことができます。

最初からアクセシブル

我々はAndroid版Firefoxに平等なアクセスが必要だと信じています。これは一度インストールさえすれば、いかなる種類のユーザーであれ追加のセットアップ作業やアドオンを必要とせずに利用できるということです。全盲のユーザーの端末で最初に起動したときから、Android版Firefoxは読み上げを開始しユーザーの入力に応答しはじめるべきなのです。Android版FirefoxはAndroidネイティブのアクセシビリティ・フレームワークとTalkback (Androidのスクリーン・リーダー)と強く統合した最初のAndroid用Webブラウザです。これにより、端末のFirefox以外の部分やユーザーによるスクリーン・リーダーの設定との一貫性を保ちます。

舞台裏

我々のAndroidアクセシビリティ・ソリューションは、デスクトップで使用している強力なアクセシビリティ・エンジンと同じものを活用しています。これは高速で、WAI-ARIAやHTML5といった標準のサポートで業界をリードしているものです。

タッチガイドとジェスチャー

Android組み込みのアクセシビリティ機能はIce Cream Sandwich(訳注:Android 4.0)以降ぐっとモダンになりました。ユーザーは今や指先でスクリーン上のコンテンツを探すことができるようになり、指の下にあるものはなんであれ読み上げられるようになりました。Jelly Beanは「フリック・ナビゲーション」を導入しました。これはユーザーが左右にスワイプすることでスクリーン上のコンテンツを順にたどれるものです。我々はAndroid版Firefoxでこれらの機能を全てサポートし、進化しつつあるAndroidのアクセシビリティと歩調をあわせ一貫したユーザー体験を提供できるように取り組んでいます。

クイック・ナビゲーション

Webページは時として巨大で複雑、しかも大量のコンテンツをもつ場合があります。スクリーン・リーダーのユーザーが巨大なページを訪れたとき、探している情報を得るまでページのアイテムを全て順番にたどるのは、退屈で時間の浪費にもなります。これこそが我々がクイック・ナビゲーションキーを導入した理由です。物理キーボードやEyes-Free Keyboardを使って、ユーザーが「k」キーを連続して押すとページのハイパーリンクを全てたどることができます。同様のキーが見出し、リスト項目、さまざまなフォーム入力欄などに設定されています。このような機能はデスクトップのスクリーン・リーダーにとってなじみ深いものです。しかしAndroidのスクリーン・リーダーにはこのような機能がないため、我々は独自に実装することに決めました。

試してみる

Jelly Beanのアクセシビリティ機能を設定し使用するのは本当に簡単です。システム設定、ユーザー補助、Talkbackの順に開き、Talkbackを有効にします。Talkbackが有効になったら、指をスクリーンの上で自由に動かしてみてください。聴覚的なフィードバックと指がのっているものを音声が伝えるのを聞くことができるでしょう。目を閉じてホーム・スクリーンの様々なアプリを探してみましょう。コツがつかめてきましたか?アイテムを順番にたどりたいと思ったら、スクリーン上で素早く左右にスワイプしましょう。起動したいアイテム(Firefox Betaですよね?)を見つけたらダブル・タップします。

あなたは既にTalkbackと一緒にFirefoxを使う方法を知っています。Firefoxを起動したら、インタフェースを指で探し、左右にスワイプし、ダブル・タップしてアイテムを起動します。あなたが作ったWebサイトやアプリケーションを実際に使ってみて、どの程度アクセシブルなのかテストする良い機会です。あなたは目を閉じたまま操作できますか?

Nexus 7でTalkbackと一緒に動作するFirefox Betaの短い動画を用意しました。

Firefox Beta on a Nexus 7 working with TalkBack (原文の記事では動画が埋め込まれていますがこの記事ではリンクとします)

まとめ

我々のAndroidのアクセシビリティに関する話の中でもっとも誇りに思うことは、我々のソリューションが意識されないということです。我々のソリューションはよく統合され、Android版Firefoxが提供する簡単で素早いモバイルのブラウジング体験を全盲のユーザーが楽しむことを邪魔しません。

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