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IE9 Beta 1とスクリーン・リーダー

2010年9月29日
アクセシビリティ・エンジニア 辻

当社のWeb標準Blogでは、9月17日にIE9 Beta 1リリースという記事の中で、Internet Explorer 9のBeta版について紹介しました。そこで本エントリーでは特に、IE9 Beta 1のアクセシビリティ上の問題について簡単に補足したいと思います。なお、今回はJAWS for Windows Professional Ver.10.0 日本語版NVDA開発版で動作を確認しました。

まず、Internet Explorer 9のアクセシビリティ対応状況については、Release Notes for Internet Explorer 9 Betaの中の、Accessibility Considerations(アクセシビリティに関する考慮事項)の中で触れられています。

記事では、Internet Explorer 9は現在のところ、支援技術利用者には一部の機能がアクセシブルではないことが述べられています。しかしながら、Internet Explorerチームでは、支援技術ベンダーと協同で問題解決に取り組んでいることや、アクセシブルではない機能を利用するための代替手段についても書かれております。

筆者が手元のJAWS for Windows Professional Ver.10.0 日本語版やNVDA開発版を用いてInternet Explorer 9で表示されたコンテンツを閲覧したところ、記事中で述べられているように、仮想カーソルではチェックボックスやラジオボタン等の一部の情報が読めなかったり、複数の「ブランク」と読まれる部分があったりと、いくつかの問題があることがわかりました。しかし、これらはInternet Explorer 9の「互換表示」を有効化することで回避できるようです。
なお、互換表示を有効にするには、Internet Explorer 9の動作中にAlt+Dを押し、Tabキーを押して互換表示ボタンに移動してそれを押すか、Alt+T Vを押してInternet Explorerメニューの互換表示を選びます。

これまでダウンロード確認やポップアップのブロック、パスワードマネージャー及びアドオンに関する通知が表示されていた「情報バー」は、Internet Explorer 9で「Notification Bar」に置き換えられました。現在のところこの「Notification Bar」に情報が表示されても、すべての支援技術でそれを通知することができません。一時的な対応として、Internet Explorerのサウンド設定が使用できます。サウンド設定を有効にするには、Internet Explorerの「ツール」メニュー内の「インターネットオプション」を開き、「詳細設定」タブ内の「ユーザー補助」内にある「システムサウンド」のチェックボックスをOnにしてください。「Notification Bar」に情報が表示されると、音でそれを知ることができます。

スクリーン・リーダー利用者として筆者が気になったもう一つの変更点は、Internet Explorer 9で変更されたいくつかのホットキーです。

例えば、Ctrl+Jでは、Firefoxと同じようにダウンロードマネージャーが開きます。これまで開いていたフィードを開くには、Ctrl+Gを押します。

Ctrl+Eでは、検索ボックスの代わりに、アドレスバーにフォーカスが移動するようになりました。これは、検索ボックスがアドレスバーに統合され、Ctrl+Eを押した場合、?(クエスチョンマーク) が入力された(検索語を入力できる)状態でそれが表示されるようになったためです。

今回はInternet Explorer 9 Beta版のアクセシビリティ上の問題点を簡単にご紹介しましたが、正式リリースまでに、上記のようなアクセシビリティ関連の問題が一つでも多く解決されることを期待しています。

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