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アクセシビリティBlog

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2008年11月21日

支援技術別動作検証報告: 複雑な画像への代替テキストの提案

アクセシビリティ・エンジニア 中村

Webサイトのアクセシビリティのチェックを行っているとバランスの悪い代替テキストに出会うことがあります。 例えば、複雑なフロー図に「フロー」という代替テキストのみが記述されているようなケースです。もしその画像以外にフローに関する説明がない場合、「フロー」という文言からだけでは、フローの具体的な内容を理解することは出来ません。本来であれば、alt属性にはフロー図に書かれた内容を記述する必要があるでしょう。

一方、画像に含まれる情報をすべて記載しているにもかかわらず、理解しにくい代替テキストとなるケースも存在します。グラフに対する代替テキストを例に見てみましょう。下記は画像上の情報をすべてalt属性に記述したケースです。

属性別のインターネット利用率(個人) 平成18年末:6歳以上75.7%、7‐12歳67.9%、13‐19歳93.0%、20‐29歳94.4%、30‐39歳92.5%、40‐49歳89.3%、50‐59歳75.2%、60‐64歳59.7%、65‐69歳48.0%、70‐79歳32.3%、80歳以上16.0% 平成19年末:6歳以上74.4%、7‐12歳68.7%、13‐19歳94.7%、20‐29歳94.8%、30‐39歳94.7%、40‐49歳91.7%、50‐59歳81.2%、60‐64歳63.0%、65‐69歳36.9%、70‐79歳28.8%、80歳以上15.4%

音声読み上げ環境では、alt属性に設定されたテキストは、1行に羅列された状態で読み上げられます。次々読み上げられる情報を頭で記憶しながら聞かねばならないため、代替テキストが長くなればなるほど情報の理解は困難になり、ユーザーに負担がかかることが予想されます。

では、負担を軽減するにはどのようにすれば良いのでしょうか。実際にいくつか例を作成し、音声読み上げ環境で確認を行ってみました。その結果、解決策としては次のいずれかの方法が有効に思われます。(作成例と確認結果はこのブログのエントリーの「全文を読む」のリンクよりご覧いただけます)

いずれの方法も万能ではなく、欠点を持ち合わせています。どの方法が正解というわけではありません。しかし詳細情報の提供が必要な画像では、どのような情報を、どのように提供するかを検討し、選択することで、より適切でバランスの良い代替情報を提供することが可能になるのではないでしょうか。

参考資料:各環境における音声読み上げ結果一覧

最後に、今回作成した例と各環境における結果一覧を載せておきます。

音声読み上げ結果一覧
  1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9 1.10
JAWS 7.1 + Internet Explorer 6 A C F B F G B F G C E G C E G C E G C E G E G E G
JAWS 7.1 + Firefox 2 A C F B F G B F G C E G C E G C E G C E G E G E G
PC-Talker 2.05 + Internet Explorer 6 A C F B F G B F G C E G C E G B C E G E G E G
FocusTalk 2.0.4a + Internet Explorer 6 A C F B F G B F G C E G C E G B C E G E G E G
NetReader 1.14 A C F B F G B F G C E G C E G B C E G E G E G
記録方法について

問題点や特徴はA、B、C、等アルファベットで記入した。

確認された特徴と問題点
1.1 alt属性が空
代替情報が提供されていないため、画像上の情報を得ることができない。
1.2 alt属性に画像上の文字を記述
情報は1行に羅列された状態で読み上げられる。読み上げられた情報を頭で記憶しながら聞かねばならないため、ユーザーに負担がかかる可能性がある。
1.3 alt属性に画像内容の要訳を記述
要訳が提供されることで短時間で画像の全体像や、重要な部分を理解できる可能性がある。しかし個別の情報が不足しやすく、情報の質はalt属性を記述する担当者に委ねられる。
1.4 テキストで画像内容の要訳を併記
要訳が提供されることで短時間で画像の全体像や、重要な部分を理解できる可能性がある。しかし個別の情報が不足しやすく、情報の質はalt属性を記述する担当者に委ねられる。
1.5 表を併記
情報を表(データテーブル)で提供することで、個別の情報を参照しやすくする。ただし表を併記するスペースが必要になるためレイアウトへの影響が大きい。画像と表が並ぶことで視覚的に冗長になる。
1.6 off-left
CSSを用いて表を画面外に配置することで、レイアウトへ影響を与えずに表による代替情報提供をおこなうことができる。問題点としては画像のalt属性を空にしているため、CSSが有効かつ画像は非表示の環境では情報を目視することができない。
1.7 longdesc属性
PC-Talker、FocusTalk、NetReaderでは、longdesc属性で情報が提供されていることが認識できない。もし使用するのであれば、1.8との併用が必要と思われる。ただし、JAWSでもlongdesc属性の説明は不十分で(翻訳されてなくて)、「属性別のインターネット利用率(個人 Press Enter for Long Description」のように読みあげられる。
1.8 別ページに詳細を用意
リンク先を参照することで詳細情報を参照できる。しかし更新箇所が増えるため、情報の同期にずれが生じないよう注意が必要。
1.9 画像をスライスし、各画像にalt属性を記述
画像を分割することで、情報を小分けにし、一度に聞き取る情報量を減らす。キーボードの上下キー(または左右キー)で前後の値を参照することができるため、情報の参照が容易になる。ただし、制作・更新の際に工数がかかることが予想される。
1.10 透明画像にalt属性を使用する
透明画像にalt属性を設定することで画像そのものをスライスする必要はないが、制作・更新の際に人為的なミスが発生しやすいと思われる。

参考資料:作成例

1.1 alt属性が空

1.2 alt属性に画像上の文字を記述

属性別のインターネット利用率(個人) 平成18年末:6歳以上75.7%、7‐12歳67.9%、13‐19歳93.0%、20‐29歳94.4%、30‐39歳92.5%、40‐49歳89.3%、50‐59歳75.2%、60‐64歳59.7%、65‐69歳48.0%、70‐79歳32.3%、80歳以上16.0% 
平成19年末:6歳以上74.4%、7‐12歳68.7%、13‐19歳94.7%、20‐29歳94.8%、30‐39歳94.7%、40‐49歳91.7%、50‐59歳81.2%、60‐64歳63.0%、65‐69歳36.9%、70‐79歳28.8%、80歳以上15.4%

1.3 alt属性に画像内容の要訳を記述

世代間のインターネットの個人利用率を見ると、13歳から40代で9割を超えているが、高齢になるほど利用率が低い。(平成19年「通信利用動向調査」属性別のインターネット利用率(個人)より)

1.4 テキストで画像内容の要訳を記述

世代間のインターネットの個人利用率を見ると、13歳から40代で9割を超えているが、高齢になるほど利用率が低い。
平成19年「通信利用動向調査」属性別のインターネット利用率(個人)

1.5 表を併記

属性別のインターネット利用率(個人)
平成18年末 平成19年末
6歳以上 75.7% 74.4%
7‐12歳 67.9% 68.7%
13‐19歳 93.0% 94.7%
20‐29歳 94.4% 94.8%
30‐39歳 92.5% 94.7%
40‐49歳 89.3% 91.7%
50‐59歳 75.2% 81.2%
60‐64歳 59.7% 63.0%
65‐69歳 48.0% 36.9%
70‐79歳 32.3% 28.8%
80歳以上 16.0% 15.4%
1.6 off-left

属性別のインターネット利用率(個人)
  平成18年末 平成19年末
6歳以上 75.7% 74.4%
7‐12歳 67.9% 68.7%
13‐19歳 93.0% 94.7%
20‐29歳 94.4% 94.8%
30‐39歳 92.5% 94.7%
40‐49歳 89.3% 91.7%
50‐59歳 75.2% 81.2%
60‐64歳 59.7% 63.0%
65‐69歳 48.0% 36.9%
70‐79歳 32.3% 28.8%
80歳以上 16.0% 15.4%
1.7 longdesc属性

属性別のインターネット利用率(個人)

1.8 別ページに詳細を用意


詳細

1.9 画像をスライスし、各画像にalt属性を記述

平成18年 6歳以上75.7% 平成19年 6歳以上74.4% 平成18年 7‐12歳 67.9% 平成19年 7‐12歳 68.7% 平成18年 13‐19歳 93.0% 平成19年 13‐19歳 94.7% 平成18年 20‐29歳 94.4% 平成19年 20‐29歳 94.8% 平成18年 30‐39歳 92.5% 平成19年 30‐39歳 94.7% 平成18年 40‐49歳 89.3% 平成19年 40‐49歳 91.7% 平成18年 50‐59歳 75.2% 平成19年 50‐59歳 81.2% 平成18年 60‐64歳 59.7% 平成19年 60‐64歳 63.0% 平成18年 65‐69歳 48.0% 平成19年 65‐69歳 36.9% 平成18年 70‐79歳 32.3% 平成19年 70‐79歳 28.8% 平成18年 80歳以上16.0% 平成19年 80歳以上15.4%

1.10 透明画像にalt属性を使用する
属性別のインターネット利用率(個人) 平成18年 6歳以上75.7% 平成19年 6歳以上74.4% 平成18年 7‐12歳 67.9% 平成19年 7‐12歳 68.7% 平成18年 13‐19歳 93.0% 平成19年 13‐19歳 94.7% 平成18年 20‐29歳 94.4% 平成19年 20‐29歳 94.8% 平成18年 30‐39歳 92.5% 平成19年 30‐39歳 94.7% 平成18年 40‐49歳 89.3% 平成19年 40‐49歳 91.7% 平成18年 50‐59歳 75.2% 平成19年 50‐59歳 81.2% 平成18年 60‐64歳 59.7% 平成19年 60‐64歳 63.0% 平成18年 65‐69歳 48.0% 平成19年 65‐69歳 36.9% 平成18年 70‐79歳 32.3% 平成19年 70‐79歳 28.8% 平成18年 80歳以上16.0% 平成19年 80歳以上15.4%

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