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支援技術別動作検証報告:基本的な要素の通知方法

2007年5月29日
アクセシビリティ・エンジニア 辻

今日では、多くの読み上げ環境からWebサイトにアクセスし、情報を得ることができます。しかしながら、同じWebサイトの情報であっても利用者が使用している支援技術によって、その表現方法がさまざまであることは、意外に知られていないのではないでしょうか。本エントリーでは、当社で現在テスト可能なスクリーン・リーダーと音声ブラウザが、(X)HTMLの基本的な要素をどのように読み上げ、利用者に情報を通知しているかをご紹介します。

テスト環境と使用した支援技術

今回の検証では、(X)HTMLでマークアップを行う際、比較的利用頻度が高いと思われる以下の要素について、スクリーン・リーダーや音声ブラウザがどのようにその内容を利用者に伝えるかを調査しました。

見出し
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リスト
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画像
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リンク
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今回調査に用いた支援技術は、以下のものです。

検証結果

以上の条件から、以下のようなことがわかりました。

上記のように、(X)HTMLの基本的な要素においても、支援技術によってその解釈や利用者に通知する方法にはさまざまな違いがあることがわかりました。

ところで、ユーザーエージェントが実装すべき機能についてまとめられている指針、User Agent Accessibility Guidelines 1.0では、Guideline 9. Provide navigation mechanismsのチェックポイント9.9の中で、重要なHTMLの要素の例が紹介されております。

1. In HTML 4, important elements include: A , ADDRESS , APPLET , BUTTON , FIELDSET , DD , DIV , DL , DT , FORM , FRAME , H1-H6 , IFRAME , IMG , INPUT , LI , LINK (if rendered), MAP , OBJECT , OL , OPTGROUP , OPTION , P , TABLE , TEXTAREA , and UL .

また、チェックポイント9.10の中では、例えば利用者が段落だけ、または段落と見出し間を移動できたり、ナビゲーションバーを隠したり元に戻したり、複数のテーブルの中やセルの間を移動できるようにすべきだと述べられています。

このことからも、少なくとも(X)HTMLの基本的な要素についてユーザーエージェントが解釈し、利用者に適切な情報を通知できるようにすることの重要性がおわかりいただけるかと思います。

利用者がWebサイトにアクセスし、効率よく目的の情報にアクセスして作業を完結できるようにするためには、まずWeb制作者が基本的な要素を含む標準的な技術を用いてサイト構築をする必要があります。また今回の調査から、基本的な要素を用いて作成されたWebサイトの情報を利用者に適切に通知し、作業効率を上げられるようにするため、支援技術の機能改善が必要だと感じました。

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