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私企業に求められるWebアクセシビリティとは?

2006年2月14日
アクセシビリティ・エンジニア 中村

先週2月7日、米国カリフォルニア州で National Federation of the Blind(以下NFB)のメンバーである Bruce F. Sexton 氏及び NFB が、Target Corporation(全米50州のうち47州に1,300以上の店を展開する大手小売チェーン)を相手に訴訟を起こしました。

その内容ですが、Target社のWebサイトTarget.comにはさまざまなアクセス障壁があり、目の見えない人達が利用することができない為、カリフォルニア市民権法及び障害者法に違反する、というものです。具体的には、画像に対するALTテキストの欠如、アクセシブルではないイメージマップ、マウスを使わないと完了できないトランザクションが挙げられています。

これらの項目は、ウェブコンテンツJISでも「~しなければならない」とされている優先度の高い項目(それぞれ5.4a、5.4b、5.3aが該当)であり、Webアクセシビリティにおける基本的要件だとも言えると思います。

では、何故この規模の企業がまったくといってよいほど対策を取らずにここまできたのでしょうか?

利益を追求する私企業ということを考慮した時、考えられる理由はいくつかあると思います。

今回の事例においては他にもさまざまな理由があるとは思いますが、特にこの3点については一定の規模の企業であれば考慮される事項だと考えられます。

さて、実際にこれらの理由は正しいのかどうか、検証してみたいと思います。

1つ目について。確かにWebサイトをアクセシビリティ対応にしても、直接的な利益はありません。そして、対応コストがかかるわけですから、それだけを見ればマイナスになってしまいます。ですが、Webサイトとはそもそも直接的な利益を生むためだけのものでしょうか? イメージダウンや裁判による費用を防ぐということはもちろんのこと、CSR的側面や、口コミなどによる間接的な利益も大きいのではないでしょうか。

2つ目については、Webアクセシビリティを勘違いしている方がこのような結論に陥ってしまうものと思われます。Webアクセシビリティとは、高齢者や障害のある方だけを対象としているわけではありません。例えば、検索エンジンのクローラー(巡回ロボット)も対象の1つなのです。

最後に3つ目について。もちろん、規模が大きいほど費用はかかると思います。しかし、Webサイトは今後も大きくなり続けていくのではないでしょうか。サイトを閉じるときまで対応しないのでない限り、できる限り早いうちに対応する方が費用対効果は明らかに高いはずです。

長くなってしまいましたが、今回の訴訟はWebアクセシビリティに関する法律など、いろいろな面に影響する可能性も大きいのではないかと思われます。これを機会にアクセシビリティに配慮したサイトを検討してみてはいかがでしょうか。

当Blogでは今後もこの訴訟については注目し、続報があればお伝えしていきたいと思います。

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